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〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 34〉略奪文化財の行方をめぐって/五木寛之

  つい先月の26日、元本紙記者で、植民地期に略奪された朝鮮文化財の調査と返還問題に生涯取り組み続けた、故南永昌氏の遺稿集「奪われた朝鮮文化財、なぜ日本に」出版記念講演「今こそ問う朝鮮文化財…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 31〉二人の元戦犯を重ねて考える/古山高麗雄②

古山高麗雄について読み直しこの文章を書いているさなかの3月28日、李鶴来さんの訃報に接した。第2次世界大戦の戦犯裁判でBC級戦犯として一度は死刑を宣告され、有期刑に減刑された後、1956年に仮釈放され…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 30〉何からの「未/復員」なのか?/古山高麗雄①

前回までとりあげた後藤明生とともに「内向の世代」に数えられ、かつ同じく植民地朝鮮出身の作家に古山高麗雄(ふるやまこまお)がいる。1920年新義州生まれ(そこから「高麗雄」と名付けられた)の古山の方が年…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 29〉「実感」の政治と歴史否認の土壌/後藤明生④

後藤明生は少年時代の朝鮮体験、引揚げ体験に基づき、「一通の長い母親からの手紙」(1970)、「挟み撃ち」(73)を書いた後、朝鮮での記憶と現在とを往復する連作を続け、それらは連作小説集「夢かたり」(7…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 28〉「実感」に閉じこもる個人の「記憶」/後藤明生③

後藤明生の「挟み撃ち」(1973)は、中学一年のとき朝鮮北部で敗戦を迎えた主人公赤木が、帰国後数十年を経て、ロシアの作家ゴーゴリの小説「外套」の内容を作中でなぞりつつ、かつて身に着けた旧陸軍の外套の行…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 27〉操作され正当化される「記憶」/後藤明生②

後藤明生という名前すら今ではほとんど忘れ去られてしまっている感があるが、代表作である「挟み撃ち」(1973年)へとテーマ、内容とも継承される「一通の長い母親からの手紙」という作品がある。後藤明生の特徴…

〈続・歴史×状況×言葉・朝鮮植民地支配と日本文学 26〉「無知と無視」「開き直り」と、「内向」と/後藤明生①

今月16日、高校無償化制度からの朝鮮学校除外をめぐり、またもや広島高裁による不当判決が下された。その翌日、巨額の税金を費やし中曽根康弘元首相の合同葬が行われた。同時進行されたこの二つの醜悪な風景が、ど…