“国家保安法、民衆の力で廃止を”/市民団体、南朝鮮全土を行進


南朝鮮の市民社会では今年に入って国家保安法の廃止を求める運動を本格化させ、粘り強く展開してきた。「国家保安法廃止国民行動」(以下、国民行動)では去る5月に行われた同法廃止を求める10万人立法請願運動に続いて、文在寅政権最後となる定期国会(9月1日から100日間)を機に、より大きな世論のうねりをつくり出すため今月5日から15日の日程で済州島―ソウル間を行進し、同法廃止を全土で訴えた。

釜山市内で街宣を行う行進団(6日、すべて統一ニュース)

世論に応答しない国会

反国家活動を規制することを目的とし、南朝鮮で統一運動家に対する弾圧に利用されてきた国家保安法。南の市民社会では今国会中(2024年5月任期満了)の廃止をめざして、国民行動を中心に運動を推進している。国民行動には、法曹界、学会、宗教、文化芸術、市民社会、民衆進歩団体など100余の団体が参与する。-

国民行動が5月10日から進めた国家保安法廃止を求める10万人立法請願運動はわずか9日間で目標数を達成し、同20日に法制司法委員会に回付された。

それから5カ月、廃止に対する明白な世論が示されたにもかかわらず、南の国会はなんらの動きも見せていない。

むしろこの間、世論の高まりに反して国家保安法による公安当局による弾圧事件が相次いだ。祖国統一汎民族連合(汎民連)南側本部の事務処長の起訴、4・27研究院の研究委員の逮捕、金日成主席の回顧録「世紀とともに」を南朝鮮で出版した出版社に対する家宅捜査などだ。

一方、司法においては国家保安法違反をめぐる裁判で、これを認めない判決が相次いだ。

ソウル高等法院は6日、極右団体が国家保安法違反だとして回顧録「世紀とともに」の出版禁止仮処分を申し立てたことに対し、1審判決を支持し、仮処分申請を棄却した。

また2014年「統一トークコンサート」で朝鮮の体制を肯定的に評価するなどの発言をしたとして起訴猶予処分(15年)を受け、強制追放、入国禁止を科された在米同胞のシン・ウンミさんに対し、憲法裁判所は10日、「証拠不十分」として処分を取り消す判断を下した。

ゆかりの地を巡礼

「去る5月、10万人立法請願運動を通じて広範な全国民的世論を確認したにもかかわらず、国会は依然として微動だにしない。これは明白な職務放棄だ。大行進は、いま一度全国的な世論を集め、今国会会期中に必ず廃止せよという国民の命令を伝えるためのものだ」(9月28日、国民行動発表)

国民行動が提起した「国家保安法廃止全国大行進」は5~15日、済州島の4・3記念館を出発して、釜山、蔚山、大邱、光州、大田、清州、原州、仁川、ソウルなど南朝鮮全土をめぐり、ソウルの国会議事堂を終着点とするコースで行われた。

大邱での講演会のようす(8日)

行進団は、済州島4・3事件や麗水順天事件の跡地、光州人民蜂起の犠牲者が眠る望月洞墓地、虐殺のあった大田の山内のコルリョン谷など、国家保安法による犠牲が生じた場所を巡礼。各地で各界各層を巻き込みながら、記者会見や講演会、懇談会、コンサート、与党共に民主党議員などへの要請、街宣など多彩な活動を展開した。

与党議員への要請行動(原州、12日)

6日は、通勤通学で多くの人が行き交う釜山市内のロータリーで街宣を行った後、市内を行進し、夕方に野外で文化祭を開催。大行進のキム・ジェハ総団長(韓国進歩連帯常任共同代表)は人々に向かって、「過去73年間、自主と統一の実現を妨げ、不平等の解消などすべての足かせとなり、常にわれわれを脅かしてきたのが国家保安法だ。政界はわれわれのたたかいと力、民心によって法律改定に向けて動く。国家保安法の本質を全国に知らしめ、廃止への大きな流れをつくりだそう」と呼びかけた。

また11日には、大田のコルリョン谷の朝鮮戦争時の民間人虐殺地を訪ねて慰霊祭を行い、戦争と分断によって犠牲になった人々を追悼した。

大田コルリョン谷での慰霊祭(11日)

各地では多くの市民らが行進団に声援や拍手を送り、国家保安法廃止への賛同を示した。江原道での行進に参加したある青年は「日帝時代の治安維持法に基づいて李承晩執権時代につくられた旧時代の悪法である国家保安法を廃止し、差別禁止法をつくらなければならない。(国会は)廃止を願う若い世代の要求を誠実に受け止めなければならない」と話した。

国民行動では、10月25日から国会前での一人デモを行うなど、引き続き運動を展開していくとしている。

(朝鮮新報)