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〈学生支援緊急給付金問題〉朝大除外の困窮救済策/認めない人権侵害

2021年09月11日 09:03 主要ニュース 民族教育

政府答弁で露呈、失笑の「独自策」

今月7日にあった立憲民主党の「外国人受け入れ制度及び多文化共生社会のあり方に関するPT(プロジェクトチーム)」が主催する当事者ヒアリングでは、コロナ禍の困窮に伴う救援策「学生支援緊急給付金」(以下、給付金)から対象外とされた朝大生だけでなく、国連共同書簡および問題の管轄省として外務省と文部科学省に対してもヒアリングが行われた。

今月7日にあった立民PT主催の当事者ヒアリング

まず日本政府に対し送られた特別報告者の共同書簡で、どのような指摘があったのかを確認しておきたい。ここでは朝鮮大学校の除外に関する問題を整理するべく、同校への言及箇所に限定し確認することとする。

4人の特別報告者が共同書簡で強い懸念を示したのは、給付金からの朝大除外が①人種、民族、国籍を理由とするマイノリティ学生への差別ということ、そしてそれが②朝鮮大学校の制度的自律性を損失させ、学生の民族的、種族的、文化的および言語的アイデンティティの促進を手助けする(民族)教育へのアクセスを阻害するということ―大きくはこの2点だった。合わせて同書簡では、日本政府に対し、上述の懸念に関する政府の公式立場を示すこと、朝大生などマイノリティの学生たちが継続的な学習を促進するうえで日本政府が講じた救援策などの情報を提供するよう求めていた。

これに対し、4月19日付の政府回答では、各種学校であることを除外理由にあげ、「差別ではない」と主張した。

しかしこれは、日本政府自身が掲げた困窮救済という趣旨をも無視するもので、特別報告書らが日本政府による一連の措置を、コロナ禍での学びの継続が危ぶまれる朝大生への人権侵害だと懸念した共同書簡に対する回答としても、全くの的外れとしか言いようがない。

学生らのことばを借りるなら、日本政府は「国連が示した懸念に真摯に向き合おうとせず、問題を形式的に終結させようとしている」(朝大学生委員会による特別報告者への要請書より)のである。

そして、この日の関係省職員に対するヒアリングでも、問題の核心とはかけ離れた、認識レベルを疑う発言が量産された。同ヒアリングは、事前に提出された質問事項に、各省の職員が答弁する形で進行された。

何物にも代えがたい営み

答弁する文科省職員

朝大除外に関する質問事項は以下の4つ。4月の回答文で的外れな弁明をした日本政府の主張を踏まえたものだ。

  1. 給付金からの除外で朝大生の学びの継続が危ぶまれる点に向けられた特別報告者の懸念に対する見解。
  2. 一条校のほか専修学校(専門課程)の生徒が対象になり各種学校は対象外。高等教育課程の朝鮮大学校が各種学校なのは、専修学校が「外国人を専ら対象とするものを除く」とされ他に選択の余地がないからだ。各種学校の高等教育課程の施設も対象にすべきではないか。
  3. 朝大除外は、政治的・外交的な背景のもと同校だけを狙い撃ちした排除ではないかとの指摘についての見解。
  4. 困窮学生に対する新たな支援策の有無と、その際に朝大生は対象となるのか。

答弁した文科省職員はまず、①に対し「日本政府が回答を送り、その後国連から何も指摘がないと聞いている。朝鮮大学校の学びを否定しないが、制度上対象外となった」と開き直り、②に対しては「(外国人を対象とする朝大が各種学校以外に選択の余地がないのは)法律上そうだが、そこは専修学校になれるようにしてほしい」と、まるで認可を受けたカテゴリーを捨てれば検討の余地があるというような暴言を吐いた。

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