〈学生支援緊急給付金問題〉国連の警告後もつづく排除/朝大除外をめぐり、立民PTがヒアリング


7日、立憲民主党の「外国人受け入れ制度及び多文化共生社会のあり方に関するPT(プロジェクトチーム)」が主催する当事者ヒアリングが参院議員会館であった。

昨年5月、日本政府は、新型コロナ関連支援策として感染症拡大の影響で経済的な困難を抱える学生向けに、最大20万円を支給する「『学びの継続』のための学生支援緊急給付金」(以下、給付金)を創設した。この対象から朝鮮大学校が除外されたことを受け、今年2月には、国連人権理事会の特別報告者たちが同制度からの朝鮮大学校除外は「差別に相当」すると警告したが、これに対し日本政府は「差別にあたらない」と主張。コロナ禍での経済的困窮は、その差はあれど学生たちが学校形態を問わず同様に被るものだが、在日朝鮮人はじめ外国人は支援の対象ではないとでもいうように切り捨てた。そして同学の学生たちには一切の救済策がとられないまま、制度は昨年度で終了した。

これと関連し7日、立憲民主党の「外国人受け入れ制度及び多文化共生社会のあり方に関するPT(プロジェクトチーム)」が主催する当事者ヒアリングが参院議員会館であった。朝鮮大学校の学生や教職員など学校関係者と「朝鮮学校を支援する全国ネットワーク」など支援団体の代表ら、評論家の佐高信さんなど識者らが参加した。

「差別ではない」と答弁する関係省庁の担当者らに対し、会場からは批判が相次いだ。

 

これまで日本政府は、同給付金から朝鮮大学校が除外されたのは、同大が「国が認めた高等教育機関ではない」ことを理由にあげてきた。しかし制度の創設以降、一部外国大学日本校について追加で対象に、そのうち朝鮮大学校のように認可を得た対象は1校(専修学校)のみで、他はすべて個人立(学校法人立以外の私立学校)の学校だった。それにもかかわらず、文科省の告示を根拠に二重基準を成立させていた。

ヒアリングではまず、主催者を代表しPT座長の石橋通宏参院議員があいさつした。

石橋参院議員は「コロナ禍で多くの学生たちの学びに深刻な影響が出ていることについて、昨年から重大な懸念をもち政府与党へ働きかけてきた」として、同給付金からの朝鮮大学校除外問題についても同様の文脈でPTの重要議題にあげてきたことに言及。国際機関から差別だと指摘されたにも関わらず「回答にならない回答を続ける」日本政府を非難しながら、「当事者の訴えをしっかりと受け止め、制度の改善を求めて引き続き共に取り組んでいきたい」と述べた。

つづいて藤本泰成さん(「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」事務局長)が発言した。

藤本さんは「多文化共生をうたう文科省が、差別実態があるのに制度上(除外は)仕方ないとするのは、行政の不作為以外の何物でもない」と、この問題が野放し状態にあることを指摘。東京五輪のビジョンにも掲げられた「多様性と調和」を基本とする社会を目指すならば「何を忖度することなく差別撤廃に向けて行動してほしい」と関係省庁の担当者たちに強く呼びかけた。

学びの危機認めるも「差別でない」

朝大生によるアピール動画が上映された

ヒアリングの場では、国際人権法専門の寺中誠さん(東京経済大学)が基調報告を行ったほか、今年8月に公開された朝大生によるアピール動画が上映された。また国連の共同書簡の趣旨を直ちに履行し、朝大生にも公平に給付金を出すよう求める要望書が、東京朝鮮学園理事長、朝鮮大学校学長、同学学生委員会委員長の3者連名で関係省庁へ提出された。

学生代表として発言した同学4年の康明淑さん(21)は、「(コロナによる経済的状況の悪化から)大学を辞めたり、悩む同級生たちがいる。なぜ私たちはいつも支援の対象外となるのか」と怒りと悔しさで声を震わせながら、国や行政の排他的政策が大きく問題視されない日本社会に対し、強い危機感を示した。

「給付金からの除外は人権侵害であり、私たちの尊厳にかかわる問題だ。日本の方々はどれほど在日外国人について知っているのだろうか。在日外国人をもっと知ってください。そうすれば無知や無意識からくる差別はなくなるはずです」(康さん)

その他にも、NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」副代表理事の鈴木江理子さん、評論家の佐高信さん、一橋大学名誉教授の田中宏さん、同志社大学教授の板垣竜太さんがそれぞれ発言。またこの日のヒアリングに際し、作家の落合恵子さん、元文科省事務次官の前川喜平さん、大阪産業大学教授の藤永壮さん、ジャーナリストの堀潤さんからメッセージが寄せられた。

板垣竜太さんは、今般の共同書簡で「(日本政府の対応が)人種差別のみならず民族教育をうける権利の侵害」だと指摘している点に着目したうえで「政府与党が朝鮮学校に『疑い』の目を向け、制度的に排除しつづけてきたこと自体、『民族教育の社会的評価と社会環境』の棄損行為だ。今回の除外も一連の朝鮮学校攻撃・排除の延長線上で、(対象外という)結論を先に決めて、その理由を後付けした」と強く非難した。

ヒアリング後には、朝大生4人をはじめ大学関係者らが会見を開いた。

これらの発言を受け、応対した文科省と外務省の担当者は、「困っている人が居ることは否定しないし、学びの継続が危ぶまれていないわけではないが、差別ではない」(文科省)「(共同書簡は)国連の見解ではなく、あくまで特別報告者の見解」(外務省)などと答弁し、いずれも差別にはあたらないという既存の主張を繰り返した。

ヒアリング後、朝大生4人をはじめ大学関係者らが会見を開いた。

一方でこの日、共同書簡を出した国連人権理事会特別報告者たちに送る朝大生からの要請書が公表された。要請書は、日本政府に対し再度是正を促すよう特別報告者たちへ求める内容で、アピール動画とともに、近日中に送付される予定だ。

(文・韓賢珠、写真・盧琴順)