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短編小説「道づれ」3/キム・ビョンフン

2021年06月05日 08:00 文化・歴史

ちょうどこのとき発車を告げる汽笛が鳴った。びっくりした娘はあわてて缶を持ち上げると一目散に乗車口の方へ駆けてきた。手にした缶をさっと肩の高さに持ち上げると、左手で缶の下を支え、用心深くデッキの踏段に置こうとした。踏段に立っていた私は、とっさに手をのばして缶を受け取ったが、その重さに思わずよろめいた。缶をデッキの上に置いたとたんに、汽車が動き出した。

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