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〈取材ノート〉共通する「真心」

2021年06月17日 09:59 コラム 民族教育

13年12月、福岡小倉地裁への提訴で始まった九州無償化裁判。その第1回目の期日で、原告側から最初に意見陳述したのが当時弁護団長を務めていた故・服部弘昭弁護士だった。

弁護士歴でいえば40年ぐらいになる大ベテラン。この問題を大局的な観点からとらえ取り組んでいた彼の姿に、弁護団メンバーはじめ多くの同胞や日本市民らが感銘を受け、手を携え司法闘争を繰り広げた。

「民族教育において、それぞれの国の歴史や文化、政治について教育するのは当たり前。独自性があるのもまた当たり前のことだ。私たち支援者が共通認識として持っているのは、在日朝鮮人を『支援』する立場からではなく、日本国憲法のもとで不当な差別が行われることが『憲法による保障機能の破壊行為』にあたるものであり、これに反対して共に闘っていくということだ」(服部弁護士、本紙2014年1月8・10日付記事より)

前年12月に始まった九州無償化訴訟の意義と、民族教育権の侵害に対し明確な立場を明らかにしたこの声は、連載「明日につなげる―無償化裁判がもたらしたもの―」を通じ触れた九州弁護団の思いと共通している。細部に目を凝らすことで見えた一人ひとりの「真心」が、各地の運動を支え強く後押ししていることもまた肌で感じた。

いまだ続く無償化裁判と、それを支える関係者たちの「真心」に引き続き着目していきたい。(賢)

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