公式アカウント

教育活動全体の底上げを/各地で教育改革の取り組み

2021年06月10日 06:00 主要ニュース 朝鮮半島 共和国

都市と農村の差異解消へ

朝鮮では近年、首都を中心とした大規模な建設プロジェクトによる開発が進んできたが、現在は地方建設に照準を定めている。教育においても同様で、都市と農村における教育レベルの差異解消が重要な課題の一つとなっている。

新しい教授方法を研究する東平壌第一中学校(すべて労働新聞)

課題は注入教育克服

昨今、朝鮮で都市と農村の教育レベルの差異を解消することは喫緊の課題であり、教育活動全体の質を高めるために必ず解決すべき重要な課題の一つとされている。

労働新聞が公表した2019年度の道(直轄市)、市(区域)、郡別の教育水準順位は、1位平壌市、2位平安南道、3位平安北道だった。最下位は両江道で、咸鏡北道に対しても厳しい指摘がなされた。

2020年度は詳細は公表されなかったが、上位は平安南道、平安北道、南浦市で前年と大差なかった。市(区域)、郡別順位を見ると、上位にランクインしたのは普通江区域、牡丹峰区域、西城区域で、平壌市が独占した形となった。部門別では平安南道の平城市、安州市、殷山郡、北昌郡、平安北道の定州市、泰川郡、朔州郡、南浦市の臥牛島区域、江西区域、慈江道の中江郡などの名前もあがった。

労働新聞5月21日付記事「都市と農村の教育水準の差を解消するうえで提起される問題」は、教育水準の差異においてとくに深刻なのが初等および中等教育部門だと指摘した。

朝鮮では全国統一の教育綱領に基づいて教育事業を行うため教育内容においては都市と農村の差異はない。差異は教育方法、教育条件および環境で現れる。すなわち教員の資質と児童および生徒の実力の差異だ。

農村の学校の多くで散見される教育実態として、旧態依然とした注入教育、詰め込み教育を克服できていない点が指摘されている。朝鮮では初等・中等教育部門の教育方針として、「多方面的な知識涵養とともに自立的・能動的に思考し実践できる創造力を育む」ことが掲げられているが、農村の学校の多くは、児童・生徒の知能を積極的に啓発し、応用能力を育む方向に志向されていないという。また、都市と農村における教員の資質能力を比較すると、相対的に農村の教員たちは専攻分野はもとより情報技術活用能力に乏しく、新しい教授方法の導入率も低いとされる。

学術一元化の取り組み

このような教育格差を解消するために、ハード(教育環境・条件)とソフト(教育方法)の両面でさまざまな取り組みが行われている。

ハード面では教員大学(幼稚園、小学校教員の養成機関)の現代化と「モデル校」建設の取り組みが各地で盛んだ。

「モデル校」建設とは、多機能化、情報化された教育環境・条件が整備された模範的な学校を整備し、それを一般化する取り組み。過去4年間で全国的に数百のモデル校が建設されたほか、平安北道では今年に入って87のモデル校を完成させた。現在は道レベルでは黄海北道で、市・郡レベルでは慈江道松源郡でモデル校の建設が活発化している。

新義州市のモデル校

ソフト面では、優れた教材や教育方法を積極的に全国に普及している。

平壌市では昨年、市内の複数の小学校、初級中学校の教員たちで開発チームをつくり、校種別、科目別の学習指導案を作成し、各地に普及した。また、都市の優秀な教員たちを農村の学校に派遣し、模範授業や教授合評会なども行われている。

大学教育における地域格差解消でとりわけ重視されているのが「学術一元化活動」だ。

国内メディアによれば、学術一元化とは「総合大学と部門別大学が学術、情報、資料提供、遠隔教育の中心として、学術部門を同じくする大学、学部、講師に対しシステムを整備することで教育内容の差異を解消する活動」とされる。

金日成綜合大学と金策工業綜合大学などの主要大学では、平壌にある部門別大学や地方の大学へ出向いたり、遠隔システムを用いて講義、発表会、討論会を行うなどさまざまな形式で学術一元化を進めている。

また金亨稷師範大学と平壌教員大学では、新たに設ける教育科学科目をはじめ複数の科目の教育内容を更新、補充して新しい試験方法を研究、導入し、全科目の講義で現実的な問題を解決できる原理と方法を確立するための討論、講習、協議会などに取り組んでいる。

(金淑美)

Facebook にシェア
LINEで送る