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〈九州無償化裁判〉日本教職員組合が書記長談話を発表

2021年06月04日 14:28 民族教育

朝鮮学校を高校無償化制度の指定対象から外したのは違法だとして、九州中高の卒業生ら68人が国に対し損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(深山卓也裁判長)は5月27日付の決定として、卒業生らの主張を退けた1審判決(19年3月14日、福岡地裁小倉支部)、2審判決(20年10月30日、福岡高裁)を支持し、上告を棄却した。

これと関連し、日本教職員組合が3日に書記長談話を発表。最高裁決定へ抗議の意を示した。以下、全文。

九州朝鮮中高級学校「無償化」裁判の最高裁上告棄却に対する書記長談話

                               2021年6月3日

                       日本教職員組合書記長 瀧本 司

5月27日、国が朝鮮学校を高校無償化の対象に指定しなかったことは違法として九州朝鮮中高級学校の卒業生68人が損害賠償を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷(深山裁判長)が学校側の上告を棄却したため、福岡高裁の2審判決が確定した。上告棄却は極めて不当な判断であり、断固抗議する。

13年自民党政権は、在日朝鮮人総聯合会(以下、朝鮮総聯)との関係を問題視し、朝鮮学校を無償化の対象とするための省令規定を削除して、朝鮮学校を高校無償化の適用から排除した。外国人学校の中で朝鮮学校だけを支援金の対象としないことは、朝鮮学校の子どもたちの教育を受ける権利を制限する人権侵害である。

日本も批准している国際人権規約では、締約国に対し、この規約において認められた権利実現のために必要な立法措置や、権利及び自由を侵害された者の救済措置を規定している。朝鮮学校を無償化の適用から除外し条約上の義務に従った救済措置も取ろうとしない日本は、人権条約締約国としての責務を果たしているとはいえない。

司法は「適正な学校運営」「不当な支配」といったあいまいな判断基準を文科大臣の裁量に委ねることなく、自ら具体的に定義し、判断すべきである。朝鮮学校だけを排除した国の判断に対しては、国連「子どもの権利委員会」、国連人種差別撤廃委員会、国連社会権規約委員会からも適用基準の見直しを求める勧告が再三出されている。最高裁は口頭弁論を開いて原告の声をしっかりと受け止めるべきである。そして国際人権規約に基づき、高校無償化からの朝鮮学校排除が社会権規約や自由権規約における「社会的出身」、および人種差別撤廃条約における「民族的若しくは種族的出身」による差別であること、生徒一人ひとりを支援する制度において特定の学校を対象から排除することは憲法14条「法の下の平等」に違反していることについて明らかにすることが最高裁の責務である。

政治的思惑で子どもたちを差別・分断することは許されない。今回の最高裁判決だけでなく、朝鮮幼稚園を含む外国人学校幼稚園の幼保無償化からの除外、朝鮮大学校生の学生支援緊急給付金制度からの除外など、日本で生活しているすべての子どもたちが保有する当然の権利を、国が奪ってきたことについても強く抗議する。日教組は、朝鮮学校の子どもたちを含め、すべての子どもに教育の機会を保障するために、引き続き平和フォーラム等とともにとりくみをすすめていく。

以上

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