〈未来を見据えて―100万人署名運動の教訓 2〉女性同盟東京・荒川支部子育て支援部長/朴香寿さん(52)


集めた「声」、より大きく

幼保無償化適用のための100万人署名運動が開始された当初の19年12月、東京・日暮里駅前で行われた街頭署名活動に参加した。幼い子を抱えながら必死に訴える若いオモニたち、その前を知らぬ顔で通り過ぎる多くの通行人…。約2時間にわたり行った活動で集められた署名は、朴さんが想定した数をはるかに下回るものだった。

19年12月に行われた東京・日暮里駅前での街頭署名活動

「日本社会の無関心さ、朝鮮幼稚班に子を送るオモニたちのことを考えると胸が締め付けられる思いだった」。高校無償化除外では飽き足らず、民族教育の入り口である幼稚班、生まれて間もない子どもたちにまで及んだ差別の矛先。このままでは、先代たちが守り抜いてきたウリハッキョがなくなってしまう―大きな危機感が朴さんを駆り立てた。

朴香寿さん

女性同盟東京・荒川支部の子育て支援部長として、地域同胞たちに幼保無償化除外の不当性を知らせながら署名を集める一方、かねてから女性同盟支部と交流のある荒川日朝女性のつどいや部落解放同盟に所属する日本市民らにも積極的に協力を呼びかけた。「これは日本人の問題だと、私たちも一緒に頑張るからと、すすんで署名をもらってきてくれる方々もいた。本当に心強かった」(朴さん)。

常に署名用紙を持ち歩き、公私問わず行く先々で署名を集めた朴さん。その中でも特に力を入れたのが、分会活動を通じた署名運動だったという。

朴さんが副分会長を務める女性同盟荒川・学校分会は、総聯分会とともに分会活動を通じて管下の東京第1初中を支援することをモットーにしている。昨年は新型コロナの影響により活動が制限される中でも、総聯分会と目標数を定め、分会委員らが消毒液と一緒に署名用紙をもって同胞宅を一軒一軒訪ねながらコツコツと署名を集めいった。

「学校分会では、昔から一度決めたらどんなことがあっても必ずやりとげるという伝統が根付いている。子どもたちのための未来のために、ウリハッキョのために、絶対に定めた署名数を達成しようという思いで、総聯・女性同盟分会の役員らが一丸となって運動に取り組んだ」

この間、各地の同胞たちや日本市民らをはじめとした多方面での協力もあり、100万人署名運動を通じて全国で約107万筆の署名が集められた。荒川支部単独で集めた署名も3千筆を超えた。朴さんは「運動を始めた当初よりも、この問題が広く周知されたと思う」としつつ「これがスタートラインだ」と気を引き締める。

「約1年半に及ぶ署名運動や要請活動を通じて、不当な差別に反対する多くの『声』が集まったと思う。その声をより大きなものにするために、行動を続けなければならない。いまだに子どもたちは差別され続けている。私たちはまだ何も勝ち取っていない。子どもたちがウリハッキョ、ウリ幼稚班に何の不自由もなく通えるその日まで、声を上げていきたい」

(丁用根)

2019年12月から始まった幼保無償化適用のための「100万人署名運動」には広範な人々が賛同し、今年4月時点で約107万もの署名が集まるなど、国が率先し行う排他的な動きに対し、異を唱える声は急速に広がりを見せている。依然として続く「除外」の現状を考えるうえで、「100万人署名運動」がどのような経験になったのか。民族教育権擁護のため、署名運動に率先して参与した人々を紹介する。全5回。


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