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〈本の紹介〉沖縄の新聞は本当に「偏向」しているのか/安田浩一著

2021年04月19日 17:07 文化

「公平性の呪縛」を突く

朝日新聞出版。03-5540-7793。定価=990円

本書は2016年6月に発売された「沖縄の新聞は本当に『偏向』しているのか」を文庫化、加筆したもの。沖縄の2大新聞の琉球新報と沖縄タイムスの記者、元記者ら約20人へのインタビューを通じ、沖縄の新聞の内実に迫った。

普段ヘイトスピーチの取材をしている著者が沖縄に出向いたきっかけは「沖縄の新聞はつぶさなあかん」という作家・百田尚樹氏の発言(2015年6月)だった。「普天間基地は田んぼの中にあった。周りには何もない。そこに商売になるということで人が住みだした」など、史実と異なる百田氏の発言に「地域に生きる人の営みを無視した、差別と偏見だ」と指摘する。

なぜこのようなデマがまかり通るのか。著者は沖縄の新聞記者らの姿から、基地問題を丹念に追う2紙と沖縄に向けられた偏見、それが生み出された経緯や構造を解いていく。

また特徴的なのは、本書で紹介される記者たちの出身地や記者になったきっかけ、経歴などが異なる一方で、皆、公権力の内実を暴き民意を伝えようとする一貫した姿勢を持っていること。その理由についてある記者は言う。「戦争と差別と基地問題に翻弄されてきた沖縄にあって、それは新聞の骨格であり、軸足なんです」(本書より)。

他方で、著者が行った差別的発言や保守活動をする相手の取材からは、かれらが話す「差別的言動をする動機」がいくつもの矛盾点を内包していることが明らかになっている。

さらに印象的なのは、

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