創立75周年記念事業が本格始動/神戸初中


選ばれる学校に向けた実践

「ハッキョの歴史や震災の中で生まれた友好、希望、地域の方々との共生の物語を見つめ続けた桜を、75周年を祝う今年に限らず末永く共に育てていきましょう」―。4日、神戸初中の運動場では創立75周年記念事業の一環となる特別イベント「あんにょん、思い出の『桜の木』たち!」が行われた。地域同胞や近隣の日本市民ら100余人が集まるなか、当日参加者らに呼びかけられたこの言葉には、今後本格化していく創立75周年記念事業の推進に向けた実行委員たちの覚悟と意気込みが込められている。

特別イベントを契機に

1945年10月27日に創立した神戸初中では、75周年を機に、さらなる学校発展に向けて抜本的な改革を行う準備を進めてきた。しかし昨年は、新型コロナウイルス感染防止の観点から、同校でもイベントは中止や延期に。創立記念事業も中断を余儀なくされた。そんななか昨年夏、学校関係者らの間で真っ先に持ち上がったのが、同校運動場の人工芝化の話だった。

「この先数年間で、兵庫民族教育の存続に向けたさまざまな動きが予想されるなか、財政問題を打開し学校運営を正常化する一つの方策として、運動場の人工芝化を進めていこうとなった」(金輝栄校長)

桜の木を挿し木にする作業は、専門家の手ほどきのもと教育会やアボジ会が中心となり準備を行った。(写真は同校FBより)

同年9月23日、神戸と明石地域の総聯支部、女性同盟支部、商工会、青商会、朝青、学校教育会、アボジ会、オモニ会をはじめとする43人の委員で「学校創立75周年記念事業実行委員会」を発足。その後、人工芝化に向けた協議も本格化していった。

同実行委員長の金和則さん(52)は、教育会を中心に実行委らが協議を重ねる過程で「今後、基金プロジェクトなど創立記念事業を推進するうえで、何か機転となるものが必要なのではないか」という意見があがったと当時を振り返る。その流れで、実行委では事業のスタートを知らせる特別イベントを実施することを決定。それが、桜の後継樹を地域同胞、近隣の日本市民、そして後世たちに届けようと企画された今回のイベント「あんにょん、思い出の『桜の木』たち!」だった。

当初は、参加対象を同校の卒業生や同胞たちに限定していたが、震災当時「共通の記憶」を持つ地域の日本市民たちにも後継樹を届けようと、その対象を拡大した。

運動場に咲いた桜の木を伐り準備した挿し木たち(写真は同校FBより)

「共通の記憶」―。それは95年1月17日、同地域を襲った阪神淡路大震災により、同校校舎が全壊に。当時初級部6年に在学した児童が犠牲となるなど甚大な被害を受けるなか、同校が神戸市の緊急避難所に指定され、近隣の日本市民らと同胞たちが共に避難生活を送ったことだ。金輝栄校長によれば、当時、多くの朝・日市民たちが、明日を生きる希望として見上げたのもまた、同校に咲く満開の桜の木だったという。

迎えたイベント当日、集まった同胞や日本市民たちは、桜の木にまつわる思い出話に花を咲かせていた。他方で、そんな思い出話以上に参加者たちが口々に語ったのは、地域への愛情と、今後同校が地域の拠点として輝きを増してほしいという願いだった。

“真剣に考えましょう”

創立記念事業が本格始動することを、地域の人々に知らせる機会となった特別イベントを終え、金和則実行委員長は「まだ終わりじゃない。これからです」と語気を強める。

2018年から2020年9月まで教育会会長を務めるなど、これまでも同校の発展のため学校支援に尽力してきた金実行委員長は、コロナ禍における資金工面など、プロジェクト進行を不安視する声も少なくないなか、同事業の意義をこう強調する。

「神戸初中には、2歳児クラスから始まる幼稚班、初級部、中級部までが併設されているが、人工芝化は、幼児期から学齢期の子どもたちが怪我のないよう遊びまわり、すくすくと育つ環境を設けるためのもの。今何よりも大事なのは、学校発展に向けて、関係者や同胞たちが垣根を越え、団結するタイミングを設けていくことだと思う」(金和則実行委員長)

神戸初中教育会の役員など学校関係者たち

現在、同実行委員会では、今年を「創立75周年記念イヤー」と名付け、「共に行こう!神戸初中75+」をキャッチフレーズに、①歴史整理保存と記念誌の発行、②教育内容の発展と教育未来の豊富化、③教育環境の整備、④卒業生・地域同胞ネットワークの再構築、⑤学校応援基金の設立など、さまざまなプロジェクトを準備している。運動場の人工芝化もまた、この一連の流れのなかで進められてきた。

「少子化が進む過程で日本の学校でも子どもの取り合いがあるし、ウリハッキョも学生数減少の問題が深刻になるなか、同胞から選ばれる学校にならなければいけない。これから先を考えると、今すべきことがたくさんある」

そう話すのは昨年9月の総会を機に、教育会会長に就任した趙源模さん(48、実行委員会事務局長)。金和則実行委員長とおなじく「75周年を一つのきっかけにしたい」と意気込む趙さんは、神戸初中の前身となる東神戸初中の卒業生。今年3月には、2人の息子が神戸初中の初級部と中級部をそれぞれ卒業した。

これまで同地域では、神戸や明石の学校が統合を繰り返してきたことから「同胞社会におけるハッキョの存在がいかに大きいかを身に染みて感じてきた」と趙さんはいう。

特別イベント当日、運動場では子どもたちが楽しそうに遊んでいた。

一方で、

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