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〈取材ノート〉排除のスパイラル

2021年02月28日 08:30 コラム 文化・歴史

昨秋、女優の東ちづるさんを取材した。現場に出向いた際、印象的だったのは飾らない自然体な人柄と一を聞けば十が返ってくるような知識量の豊富さだった。

自身の問題意識を交え明解に答えてくれるかのじょに対し、ペンをとりながらも時折その速度に追いつけず冷や汗をかいた。

デビュー初期に情報番組の司会を務めていたこともあり、世界情勢や政治への関心はもちろんだが、とりわけマイノリティへの差別とメディアの在り方について、それらが日本社会の内包する歪みの核心ではないかと真正面から問うていた姿は鮮明に刻み込まれた。

「朝鮮にはどのような印象を持っていますか?」

「報道番組の司会をしたとき、朝鮮を紹介する際は決まりきった映像で。今思えば植え付けられたイメージしかなかったと思う。朝鮮半島の分断状況は、一方的なイメージを擦り込まれるのだと実感しました」

「差別問題はなぜ深刻化の一途をたどるのか?」

「知らないから。なぜか、街に居ないから。なぜ街に居ないか、街が排除しているから。このスパイラルです。例えばバリアフリー施設をつくるとき、その場に障害当事者がいない。排除されている人や、マイノリティと思う人たちが何を求めているのか、ニーズを知らずに私たちが語るのはすごく空回りです。事実を知らない人や間違った考えでいる人に対し、なぜそのように至ったのかを共に考え、伝えていかなくては」

俳優業のかたわら東さんが行う社会活動にも一貫したこの姿勢は、取材しながら最も魅力を感じた部分だ。

(賢)

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