明治日本の産業革命遺産と朝鮮人強制労働/高麗博物館で講演


否定される「遺産」の背景

今年開館20周年を迎えた高麗博物館(東京都新宿区)の新企画展「現代トピック」コーナーでは「明治日本の産業革命遺産と朝鮮人強制労働」をテーマにした展示が7月4日まで行われている。これと関連し13日にはオンライン講演が開催され、朝鮮人強制連行の調査を続けている歴史研究家の竹内康人さん(64)が「軍艦島」(長崎県端島)などの「明治産業革命遺産」をとりまく問題点について詳しく解説した。

現在、世界遺産に登録されている高島炭鉱・端島炭鉱、三菱長崎造船所(長崎県長崎市)、三井三池炭鉱(福岡県大牟田市・熊本県荒尾市)、八幡製鉄所(福岡県北九州市)などは、かつて朝鮮人強制労働が行われた現場でもある。しかし日本政府はこれらを「明治日本の産業革命遺産」と称し、資本形成に大きな影響を与えた場所だと賛美している。

講演に先立ち、竹内さんは「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」というユネスコ(国際連合教育科学文化機関)の精神を言及しながら「産業革命の遺産は強制労働や奴隷輸入などの歴史を踏まえて説明する必要がある」と指摘。そして、日本政府が賛美し続ける「産業革命遺産」の背景に朝鮮人強制連行があることを強調した。

竹内康人さんによる講演が行われた。

竹内さんは2013年9月、加藤康子氏(現在の産業遺産情報センター長)をはじめとする内閣官房が中心となって設立した「産業遺産国民会議」にも言及。また、西洋の科学技術を学び産業革命を成したという認識のもと、世界遺産登録に向けて行われた同会議の動きを解説した。

この動きに対し竹内さんは「重大な視点が抜け落ちている」と指摘。本来、産業遺産は資本形成の視点、労働者の視点、国際的(強制労働など)な視点で評価しなければないが「日本は資本形成に対する賛美のみ」だと批判した。

次に、「明治日本の産業遺産」に3千人を超える朝鮮人労働者が存在した事実を紹介。自身がこれまで調査した証言や写真をもとに当時の労働環境や待遇について概括したうえで、歴史歪曲の流れを危惧した。

竹内さんは、世界遺産に登録された各地の資産に、朝鮮人強制労働の事実について十分な説明がないこと、産業遺産国民会議が「世界遺産・軍艦島は地獄島ではありません」と訴えかける動画を制作するなど、強制労働の証言を否定している事例を挙げた。そして、これらに対し「証言のうち誤った部分だけを切り取って『嘘の証言』と否定するのは、被害者の側にたって考える姿勢が欠如している。証言の全体を見て理解しないといけない」と非難した。

「日本の世界遺産は、観光のための都合のいい物語しか語られていない。だが、その背景にある歴史を批判的に見て、今後の教訓を得ることが大切だ。世界遺産には賛美だけでなく反省の意を込める必要がある」(竹内さん)。

強制労働に従事させられた人の証言を紹介する竹内氏。

加害の歴史認識正す動きを

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