〈ユニクロ外国人排斥問題〉「差別か否か」ではない、欠如する「認識」問う姿勢


感染症対策のための地域支援として、各地の小中高校の児童・生徒、職員を対象に、自社マスク100万パック(300万枚)を寄贈するとしたユニクロが、その対象から外国人学校を除外する初期対応をとっていた問題。ユニクロを運営するファーストリテイリングは19日、担当者を通じ、外国人学校を「対象外」とした一連の対応を訂正し、謝罪した。そのうえで、申請の機会を逸した該当校へ、別途寄贈することを決めた。

機会逸した対象へ追加対応

事の発端は、朝鮮学校関係者が寄贈対象について問い合わせた際の「担当者の対応」だった。

公式HPを通じ事業のスタートを知らせた今月15日。同日付で、オープンした申請フォームには、学校名と連絡先などのほかに申請する学校情報として、学校種別についてチェックする項目があった。

受付開始から1日が経った16日、「国立」「公立」「私立」「その他」で分けられた学校種別のうち、「朝鮮学校やブラジル人学校などの外国人学校はどちらに該当するのか」を問い合わせた朝鮮学校関係者に対し、当時の担当者は「外国人学校の種別」に関する案件であることを確認したうえで「朝鮮学校、ブラジル人学校等の外国人学校の場合は、この度の応募フォームでご依頼する際には対象外となっております」と回答。これに対し、「サービスとして線引きが必要なのは理解するが、コロナ禍という状況で学校種別で分けるのはいかがなものか。感染症は国籍、民族などを問わない」と早急な対応を求められると、「コロナウイルスにつきまして、国籍、民族をとわず感染することなど深刻な問題であると弊社としても深く考えている」と回答したうえで、「強い要望として担当部署へ伝える」と明言した。

本紙では、外国人学校が実際に対象外となるのかを含むこの問題の事実経過を確認すべく、同社に対し連日取材を行った。

外国人学校が対象外とされた理由、対象外としながらユニクロ側がその理由を示していないこと、感染症対策支援という事業趣旨に則り一連の対応に不備はなかったのかということ、以上の3点を問うた本紙の取材に対し、担当者は「外国人学校であっても、対象となります。なお、専門学校の場合には、日本人学校を問わず対象外となります」と回答(17日)。その一方で、当時の対応を「担当者の誤認識」からきたものと説明し、謝罪の意を示した。

さらにその後の取材過程で、ユニクロ側は、初期対応が誤った認識で行われたことについて「緊急事態宣言下の緊急寄贈で、事前に社内で募集要項の周知徹底ができていなかった」と釈明。また、HP対象欄に外国人学校が含まれる旨を記載しなかった理由を「当初より外国人学校からのご要望も受け付け」ていたが、独自に実施してきた教育事業で外国人学校も「小学校、中学校、高校の分類で応募を受け付けていた」ことから「その区分を踏襲」したことが原因であると重ねて訂正し、謝罪した。

同社広報担当によれば、19日時点で同寄贈事業には数千件の申し込みがあったという。またこの中には、約50の外国人学校も含まれており、締め切り前に申し込みのあった学校は「応募内容に不備がない限りは、当初予定通り等しく寄贈させていただく」と説明しながら、「担当者の誤認識」で応募機会を失った対象に対しては、「別途必要な数量を寄贈」すると述べた。

根本の「認識」に眼を

同社は申請の機会を逸した該当校へ、別途寄贈することを決めた。(写真は公式サイトより)

「企業の善意から出た行為を差別と無理やり紐付けている」

「無料で配っているのだからどこに配ろうがユニクロの勝手。公共事業と勘違いしているのでは」

問題が明るみになって以降、各種SNSでは、当時「外国人学校を対象外」とした担当者の行為を含むユニクロ側の一連の対応が、「差別か差別ではないか」を中心に議論がおこった。

ここで確認しておきたいのは、一企業の支援であり、社会貢献を目的とした善意の行為ということは大前提であり、当然国や自治体が行うそれとは根本的に異なるということだ。

しかし、最も重要な論点が抜け落ちてはいないだろうか。

今回、原因となった個人の「誤認識」は、結果的に差別や排除の行為が起きる発端でもある。その「認識」を養ううえでの人権感覚や歴史感覚が根本的に欠如していること、またそのような「認識」そのものへの問いを立てない日本社会の現状を問うことこそが、今回の問題で最も議論の的とすべき点ではなかろうか。

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