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〈取材ノート〉「プニギ オルリジャ」

2020年12月07日 13:59 コラム

先日、今年の流行語大賞が「3密」に決まった。未曾有のコロナ禍に見舞われた世情を反映しての選出だろうが、あまり聞こえのいいものではない。どこか後ろ向きな気持ちにもなる。

筆者の個人的流行語大賞を選出するならば、「第42回コマチュック大会」(11月13~14日、大阪)のピッチ上で、選手たちがしきりに発していたこの言葉だ。

「プニギ オルリジャ」(분위기 올리자)―日本語に訳すと「雰囲気を高めよう」。ウリハッキョのサッカー部出身者であれば、一度は口にした言葉ではないだろうか。

試合中、劣勢に立たされて声が途切れたときや、押せ押せムードの中もう1点ほしいときなど、選手たちはあらゆる場面でこの言葉を叫んだ。一人が発すると、それにチームメイトが呼応する。この言葉を何十回と発しながら、選手たちは互いを鼓舞し合い、勝利を目指した。

難局に直面したときや心が落ち込んだとき、ひとつの言葉が勇気を与え、大きな力になることもある。選手たちが叫んだ「プニギ オルリジャ」は、困難な状況にある同胞社会を奮い立たせてくれる、そんな言葉のように感じられた。

2020年も年の瀬。「3密」を避けに避けてもいまだに感染症の脅威は消え去っていない。ただ、終わりのない試合がないように、この状況もいつか必ず終息するだろう。「コロナ終息」のホイッスルが鳴り響くそのときまで、コマサッカー選手たちのように心を密にし、前向きに。同胞社会、プニギ オルリジャ。

(根)

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