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〈九州無償化裁判〉人権守るべき裁判所、いったい何を/日本朝鮮学術教育交流協会が声明

2020年11月07日 17:18 主要ニュース 民族教育

朝鮮学校を高校無償化制度から除外するのは違法だとして、九州中高の生徒、卒業生ら68人が国に対し提訴した国家賠償請求訴訟(九州無償化裁判)の控訴審判決で福岡高裁は30日、1審の福岡地裁小倉支部判決を支持し、国の判断を「適法」とする不当判決を下した。これと関連し同日、「日本朝鮮学術教育交流協会」が会長声明を発表した。以下、声明全文。

高校無償化 不当判決に抗議する

2020年10月30日、福岡高裁は、九州朝鮮中高級学校卒業生が求める高校無償化の願いを踏みにじる控訴棄却の判断を下した。10月16日の広島高裁での不当判決に続く福岡高裁の判断は国際的な人権課題である民族教育の保障をまったく理解しないものであるだけでなく、保守政権の意向を忖度する不当なものである。

かつて国は学校教育の自由・自治に介入し、不当な支配を行ってきた歴史的事実がある。ところが日本政府はこの不当な支配論を「朝鮮総連の不当な支配」というロジックにすり替え、朝鮮高校の教育内容が朝鮮総連の不当な支配を受けていると強弁している。日本に住むことを余儀なくされた朝鮮人の歴史性をまったく顧みることもなく、朝鮮総連と朝鮮学校の関係を支配関係としてとらえている恥知らずというべきこのような国の主張を福岡高裁はそのまま踏襲している。

日本政府は幼保無償化においても朝鮮学校を狙い撃ちし差別している。各種学校である、というまったく根拠のない理由を持ち出しての露骨な差別に、全国各地の弁護士会からも抗議の声があがっているが、人権を守る裁判所はいったい何をしているのか。政治的理由で差別される朝鮮学校の教育権の保障はまさに生存権に関わる事柄であり、子どもたちが差別される理由はまったくないし、子どもたちを差別してはならない。裁判所は差別に荷担することなく、お粗末な論拠を持ち出す日本政府の在り方に司法としての独立性、司法としての矜持を示すべきである。

ヘイトスピーチが公然と行われ、差別がまかるとおる日本社会において、本来、人権を守る砦であるべき裁判所が、司法の本来のあるべき姿へと転換する試金石であるこの朝鮮高校無償化裁判において、またしても汚点を付け加えた福岡高裁判決。私たちは高校無償化、幼保無償化の実現・勝利に向けて、今後とも取り組んでいくことを決意する。

2020年10月30日

日本朝鮮学術教育交流協会 会長 藤野正和

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