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〈九州無償化裁判〉正義を追求する闘いに終わりはない/日朝友好千葉県の会と千葉朝鮮学校を支える県民ネットワークが声明

2020年11月04日 11:34 主要ニュース 民族教育

朝鮮学校を高校無償化制度から除外するのは違法だとして、九州中高の生徒、卒業生ら68人が国に対し提訴した国家賠償請求訴訟(九州無償化裁判)の控訴審判決で福岡高裁は10月30日、1審の福岡地裁小倉支部判決を支持し、国の判断を「適法」とする不当判決を下した。これと関連し10月31日、「日朝友好千葉県の会」と「千葉朝鮮学校を支える県民ネットワーク」(千葉ハッキョの会)が声明を発表した。以下、声明全文。

抗議声明

日朝友好千葉県の会と千葉朝鮮学校を支える県民ネットワーク(千葉ハッキョの会)は、福岡高裁不当判決に徹頭徹尾抗議する!

~ 日本政府は朝鮮学校の学生たちの声を聞け!「聞こえないふり」をするな!~

2020年10月30日、福岡高裁(矢尾渉裁判長)は、高校無償化の対象から除外した国に対して損害賠償を求めて闘い続けている九州朝鮮中高級学校の卒業生68名の控訴を棄却し、一審を支持する不当判決を下した。矢尾裁判長は判決理由で「朝鮮高校内の教育内容は朝鮮総連からの『不当な支配』を受けている合理的疑念」があり、九州朝鮮中高級学校を対象外とした国の判断は「不合理とまではいえない」とした。われわれ両会は、この不当判決に徹頭徹尾抗議する。福岡高裁判決は、これまでの無償化に係る一連の不当判決同様、憲法に基づいて「良心に従い独立して職権を行う」裁判官が下した「公正な」判決とは到底言えず、国の顔色だけを伺った忖度判決である。

福岡地裁小倉支部において、原告側が、国が高校無償化から除外したのは「政治・外交的理由に基づいた処分で、在日朝鮮人社会への差別行為」と主張したのに対して、被告である国は政治・外交的な意図はなく「在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)と(朝鮮高級学校が)密接に関係しており、支援金が授業料に充てられない懸念がある」として請求棄却を求めた。提訴から5年余りが経過した2019年3月14日、福岡地裁小倉支部(鈴木博裁判長)は国の主張を鵜呑みにして原告側の請求を棄却した。福岡高裁は今回この判決を支持したのだ。

2010年に始まった「高校無償化法」は、国際人権規約の規定の実施であり、「全ての意志ある高校生等が、安心して勉学に打ち込める社会をつくる」ことを目的として、政治・外交的理由に左右されることなく、全ての在日外国人高校生にも国として学びの機会を経済的に支援することを基本理念としている。現に制度発足以来、朝鮮高級学校を除く各種学校であるその他の在日外国人高校生には適用されている。

2012年12月26日、第二次安倍政権が発足したわずか2日後の12月28日、下村文部科学大臣は「拉致問題の進展がないことや朝鮮総連と密接な関係があり、現時点で無償化を適用することは国民の理解を得られない」として無償化制度を朝鮮高級学校に適用しないことを表明し、翌年2月20日には朝鮮高級学校適用の根拠となる規定を削除して文科省令を改悪する暴挙に出た。これはまさに、朝鮮総連と「北朝鮮」との関係をことさらに強調した政治・外交的理由による排除であった。

裁判で「高校無償化法」の基本理念を冒す意図はないとした国は、朝鮮高級学校適用の根拠規定の下位規定を持ち出して「支給対象の要件」に論点をすり替え、朝鮮総連と密接に関係し、「不当な支配」を受けているから支援金が授業料に充てられない懸念があり、「支給対象の要件を満たさない」という屁理屈に終始した。上位規定を削除しながら下位規定を根拠にするなど論理破綻も甚だしい。そもそも朝鮮学校に対して「不当な支配」をしているのは日本政府のほうではないか。朝鮮総連は朝鮮学校を必死に支えてきたのだ。われわれ両会は日頃の活動を通してその事実を目の当たりにしている。朝鮮総連と朝鮮学校が密接な関係にあるのは当たり前のことだ。

納税の義務は等しく負わせておきながら、補助金の凍結・減額を行い、高校無償化から朝鮮高級学校を外し、幼保の無償化から朝鮮幼稚園を外し、さらにはCOVID-19に係る支援からも朝鮮学校を排除するなど、日本政府は朝鮮学校に対して一貫した差別政策を採り続けている。「多文化共生」を口にしながら、朝鮮に繋がるものはすべて排除する日本政府の人権感覚はあまりに異常である。本来、それを正す役割であるはずの司法が国の屁理屈を肯定する下請け機関に成り下がっている。日本政府は、国連人権各委員会(社会権委員会、自由権委員会、人種差別撤廃委員会等)から「高校無償化」適用及び補助金支給について再三にわたり是正勧告を受けていることを忘れてはならない。

この間COVID-19の影響により、千葉県唯一の民族学校である千葉朝鮮初中級学校(千葉ハッキョ)は、支援のためのイベントが相次いで中止となった。その結果、千葉ハッキョ存続のために欠くことのできない収益が無くなり、教職員の給料や教育活動に係る経費を賄うことが困難な状況に追い込まれた。しかし、千葉ハッキョの運営を困難にしているそもそもの原因は、保護者も教職員も日本人同様、等しく税金を納めているにも関わらず、自治体の補助金等が一切絶たれているという差別にある。

われわれ両会は、この困難を乗り切るため5月末から「新型コロナウィルスから千葉ハッキョを守るための支援カンパ」に取り組んできた。そして、数多の心ある日本の市民から寄せられたカンパは現在400万円に達している。朝鮮総連を中心とした同様のとりくみにより在日朝鮮人側はこの金額を超えるカンパを集約している。無論、これらのカンパは千葉ハッキョの教職員の給料や学校運営に充てられていることは言うまでもない。

正義を追求する闘いに終わりはない。われわれ両会は今後も引き続き、真の多文化共生の実現に向け朝鮮学校への補助金支給・高校及び幼保の無償化適用を求め、全国の仲間とともに連帯して取り組んでいくことを表明する。

以上

 

2020年10月31日

日朝友好千葉県の会 共同代表 上野建一・小宮清子

千葉ハッキョの会 代表 廣瀬理夫

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