〈ものがたりの中の女性たち 38〉「理想の愛」にひた走る十七歳/楚玉


あらすじ

友人を頼り漢陽の張進士宅に間借りしていた李生は、行廊房(大門に接続して設けられた使用人のための部屋。常民や賎民が借りることもある)の前の井戸に集まった女たちの中で、ひときわ美しい新妻楚玉に目を留める。王女の婿の宮で働いていた彼女は、漢籍の教育を受けたため教養が高い。美しく、賢い楚玉を見初めた楊老人は、息子の嫁にと彼女を受け出す。

使用人や間借り人たちが、行廊で騒ぐことを快く思っていなかった李生は、自分の家でもないのに彼らをどやしつける。楚玉はそれを、昨今には珍しい筋が通った威厳のある男性だと思い込み恋に落ちる。水滴に水を汲むことを理由に楚玉を呼んでは見るが、李生はそれ以上何もできない。「理想の愛」を夢見る楚玉は、李生に花と詩を送り恋心を伝える。

楚玉を部屋に呼ぶことに成功した李生だが、彼女の美しさと博識に気おされその夜は会話だけに甘んじる。ところが楚玉は、自分の美貌や体目当てではなく、自分自身を知ろうとしてくれるこの人こそ「布衣之士」だと錯覚、恋は燃え上がる。それ以来ふたりは人目も憚らず逢瀬を重ねる。

ついに夫に知られ、楚玉は激しく殴られ何度も殺されそうになるが、甘んじて死を受け入れると言い悪びれない。舅によって助けられるが、九回も自害しようとする。かねてから楚玉を狙っていた美しい貴公子の叔父が李生に嘘を吹き込むと、元々自信のなかった彼はあっけなく楚玉を諦め帰郷、後日取り返しのつかない言葉でその愛と信頼を裏切り、ふたりは永遠に破局する。


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