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〈在日無年金障害者―零れ落ちる声を拾って〉今一度、在日無年金問題を問う

2020年10月10日 00:01 主要ニュース 権利

国民年金制度の施行(1961年4月)から、来年で60年を迎える。同制度の根拠となる国民年金法の目的は、老齢・障害・死亡によって生活の安定が損なわれることを「国民」の共同連帯で防止し健全な生活の維持および向上に寄与すること。しかし、この誰もが享受すべき社会保障制度、さらに言えば人々の生に関わる保障制度から零れ落ちた人たちがいる。

それが、在日無年金高齢者・障害者たちである。

1959年に国民年金法が施行された当時、同法に設けられた国籍条項により、在日朝鮮人をはじめとする日本在住の外国人は、国民年金への加入を拒まれていた。日本が82年に難民条約へ加入して以降、これに伴う法改正により国籍条項が撤廃。社会保障を受ける権利は、「日本国籍を有する者」から「日本に居住する者」とその対象が広がった。しかし、日本政府が経過措置を取らなかったことにより、一部の在日外国人らが無年金状態となったのだ。82年1月1日時点で、➀35歳を超えていた在日外国人、②60歳に達していた在日外国人(その後一部改正)、③母子家庭あるいは準母子家庭になっている在日外国人、④そして20歳を超えていた在日外国人の障害者たちである。

当時、日本政府の言い分は、▼国民年金制度は社会保険方式が基本なので、82年まで保険料を払っていない(掛け金のない)在日外国人には年金を支給できない、▼82年の国籍条項の撤廃は制度の発足ではなく拡大であり、経過措置とは、制度の発足時に行うもので制度の途中ではしないのが原則であるということ(朝鮮新報2000年5月22日付より)。

だが実際は、日本政府の言うように保険料を自ら「払わなかった」のではない。

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