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〈京都朝鮮学園名誉棄損事件控訴審〉「公益性」判断維持に非難/京都朝鮮学園が声明発表

朝鮮学校に対するヘイトスピーチで学校法人京都朝鮮学園の名誉を傷つけたとして、名誉毀損罪に問われた「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元幹部・西村斉被告の控訴審判決で、大阪高裁は14日、罰金50万円を言い渡した1審・京都地裁判決(19年11月29日)を支持し、被告側の控訴を棄却した。また京都地裁が認定した被告の行為に対する「公益性」について、裁判所は判断を避けた。

これと関連し同日、京都朝鮮学園が声明を発表した。

以下、声明全文。

本日(2020年9月14日)、大阪高裁判決が、学校法人京都朝鮮学園に対して行われた名誉毀損事件につき、京都地方裁判所2019年11月29日判決が認定した「公益性」判断を維持する判決をしました。この判決については、強い憤りを禁じ得ません。

本件は、当法人の運営する京都の朝鮮学校を標的としている刑法犯該当行為です。ヘイトスピーチのなかでも被害者が特定されている態様であるため、当校の学校運営、社会的評価に直接的な影響を及ぼしています。

同じく当法人の初級学校が人種差別の標的とされた2009年事件に対しては、これまで、日本司法が懲役刑や、高額の賠償を課したことが大きく報じられたことを受けて私どもの名誉も一定の回復が得られ、同種ヘイト行為の抑止にもなってきたと感じていたところです。にもかかわらず、今回の2017年の事件は、服役をした同一の行為者(被告人)が、前回と同じ場所、同じ表現で殊更に前件との連続性を強調しながら、再び名誉毀損行為の再犯行為に及んだ、というものです。これは、自らの過去の行為の正当性を主張し、前回行為による打撃の効果を復活させようとする試みです。人種差別を許さないとした2009年事件の司法判断を覆そうとするかのような挑戦的かつ挑発的な姿勢がありありと表現されており、学校関係者や児童らが抱いた当時の不安を再燃させかねないものでした。

こうした行為の悪質な意図を見抜けないまま、被告人がまとう「表面上の装い」、いうなれば「フェイクの弁明」を鵜呑みにして、京都地方裁判所は安易に「公益性」を認めてしまっていました。さらに驚くべきことに、京都地方検察庁も控訴しない選択をしました。日本の刑事司法によるこうした判断や選択は、日本の差別社会の現実を反映しているように感じられ、被害者の私たち職員、保護者、児童たちのなかでは、日本社会に対するある種の絶望感が語られるような現状にあります。

今回の大阪高裁判決は、私どもの被害が2009年事件の差別攻撃との連続性から生じていることの適切な理解ができていたのか、深刻な被害実態との対比のうえでの厳正な「公益性」判断であったといえるのか、疑問に感じざるを得ません。刑事司法には、個別事案に対する適正な判断の積み重ねを通して、差別社会の深化を押しとどめる役割が期待されています。今回の判決は、この役割を放棄するかのような判断であり、強く抗議したいと思います。

他方で、京都地方裁判所における判決の後、今日まで、上記の京都地裁、京都地検の判断に違和感を感じた数多くの市民や法律の専門家が声を上げ、合計3800筆を超える署名と抗議声明への賛同が集まっています。このような声の存在は、私たちに勇気と希望を与えてくれ大変励まされました。とても感謝しています。また、新聞報道などのなかには、差別被害者の声を中心に構成されたものも見られ、本件の真相を世間に訴えかけてくださっている内容に、日本社会が少しずつ変化しつつあることへの手応えを感じました。

私たち学園は、こうした市民や報道の声こそが、日本社会の真実の良識であると信じ、児童たちにも希望を棄ててはいけないと伝え続けていきたいと思います。こうした市民感覚に日本の刑事司法が遅れをとっている現状があるならば、今後の同種事件の判決の評価において、市民の良識を反映させ差別行為を厳しく断罪する運用へと改善されていくことを心より願います。そして、その実現に向けて必要な対処を、司法や立法に関係する全てのみなさんに要請したいと思います。

2020年9月14日

学校法人京都朝鮮学園 理事長 趙明浩

(朝鮮新報)

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