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〈トンポの暮らしを支える/こちら同胞法律・生活センターです! 2〉休業手当と雇用調整助成金はどんな制度?

2020年08月19日 10:01 主要ニュース

世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大は私たちの暮らしに深刻な影響をもたらしています。日本でも失業や廃業する人が増加し、戦後最大の事態とも言われる中、国をあげて各種の支援事業が実施されています。

2回目となる今号では、休業手当と雇用調整助成金について詳しく解説します。

休業手当―アルバイトも例外なく

Q. 3年前から飲食店を個人経営しています。アルバイト2人には開業当初から、週5日、1日6時間のシフトで働いてもらっていましたが、新型コロナの影響で4月と5月は休業しました。6月からは営業を再開しましたが客足が戻らず、アルバイトは週3日4時間ずつのシフトで働いてもらっています。

昨日、アルバイトが「給与が少なくて生活が苦しい。4月と5月の休業手当が貰えるはずだ」と言ってきたのですが、3月中に休業を決めて4月はシフト表も作っていなかったので、何も支払う必要は無いと思うのですが…?

A. 休業の責任が事業主にあるときは、民法536条によると、労働者は休業中の賃金全額(10割)を請求する権利があります。また、労働基準法26条によると、労働者に平均賃金の6割以上の「休業手当」を支払わなければならないことになっています。

民法の決まりは事業主と労働者が合意すれば排除できますが、労働基準法は排除できませんので、最低でも平均賃金の6割以上は支払わなければなりません。

仮に不可抗力による休業であれば「休業手当」の支払義務はなくなりますが、その場合は、(1)その原因が事業の外部より発生した事故であること、(2)事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない事故であること―の2つの要件を満たすものでなければならないとされ、休業回避の最善の努力を尽くしたかどうか、厳しく判断されます。

アルバイトも例外ではありません。4月のシフトは決まっていなかったとのことですが、週5日・1日6時間の雇用契約があればもちろんですが、契約書がなくても実績からみてお店の休業がなければ勤務していたと思われる場合には、休業手当を支払う必要があると思われます。今回の新型コロナウイルス感染症の問題は一概に事業主の責任とは言いきれませんが、厚生労働省は「新型コロナウイルスに関するQ&A(企業の方向け)」を公表し、休業期間中の賃金について、労使で十分に話し合って、労使が協力して、労働者が安心して休むことができる体制を整え、労働基準法の最低基準を上回る休業手当を支払うことを要請しています。

雇用調整助成金―上限は1日1万5千円

Q. アルバイトにも休業手当を支払わなければならないことはわかりました。ところで、休業中に賃金を支払った事業主には国が全額を保証してくれる制度があると聞きましたが、そんな制度があれば、詳しく教えてください。

A. 2020年4月1日から9月30日までを緊急対応期間として「雇用調整助成金」の特例措置が実施されていますので、概要をご紹介します。

新型コロナウイルス感染症の影響により売上等の生産指標が5%以上縮小したこと、労働者と事業主が労使協定を結び労働者を休業させて、事業主が平均賃金の6割以上の休業手当を支払ったことなどを条件として、後日、国が休業手当の一部を助成する制度で、中小企業の場合は助成率100%(雇用維持要件を満たさないときは80%)です。

通常の申請期限は、支給対象期間の最終日の翌日から2カ月以内ですが、判定基礎期間の初日が1月24日から5月31日までの申請は特例で2020年8月31日まで可能ですので、4月と5月に休業した分もまだ申請できます。

またシフトを減らした6月以降ですが、時間単位の休業も認められますので、週2日の全日休業に加えて、出勤している週3日の1日2時間の短縮分も申請できます。週当たり2日の休業+6時間の休業で、計週3日分の休業手当の助成が受けられます。

助成金の上限は1日1万5千円ですので、給与を10割支給しても、助成金でほぼ賄える計算です。審査のスピードも上がっていて、東京では1カ月前後で決定通知が届いています。

小規模事業主用は様式も添付書類も大幅に簡素化されました。インターネットで「雇用調整助成金」で検索して、詳細をご確認ください。雇用調整助成金を利用して、アルバイトの生活水準も維持しながら、雇用も継続してアフターコロナの通常営業の再開に備えましょう。

(金仙喜:特定社会保険労務士、NPO法人同胞法律・生活センター副所長)

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