〈幼保無償化〉「子どもたちの声届けて」「ヘイト、差別を助長」/神奈川・長野関係者らの要請活動で


参議院議員会館で行われた神奈川関係者の要請活動のようす

文科省旧地庁舎で行われた長野関係者らによる要請活動

7日、幼保無償化問題と関連し行われた神奈川(参議院議員会館)、長野(文科省旧庁舎)の朝鮮幼稚園関係者による要請活動では、関係府省へ署名(神奈川―2万9881筆、長野―1万4273筆)と要望書をそれぞれ提出。保護者や日本人支援者らが差別是正を強く訴えた。要請活動での発言の一部を紹介する。(丁用根)

各種学校の外国人幼稚園への幼児教育・保育無償化適用を求める神奈川朝鮮学園連絡会・金燦旭代表

金燦旭代表

昨年10月以降、在日同胞や学校を支援してくれる日本の方々と共に、この差別を絶対に許すことができないと署名活動を行い、これまで3万筆近い署名を集めた。私が校長を務める神奈川中高の生徒たちも街頭に立ち、雨が降る中でも、寒い冬の日でも、受験勉強がある中でも、一人でも多くの日本の方々に署名をもらおうと積極的に活動してきた。朝鮮学校に通う子どもたちは、朝鮮民族として日本で生きるために朝鮮学校で学ぼうとするとき、一番はじめにアイデンティティーを学ぶ場、民族教育の入り口である朝鮮幼稚園に通うことから否定されなければいけないのか。今回、関係省庁に提出した要望書には朝鮮幼稚園をはじめすべての外国人幼稚園に通う子どもたちも等しく無償で幼稚児教育を受けられるよう強い思いを込めた。われわれの思い、子どもたちの声をしっかりと届けてほしい。

横浜初級オモニ会・安春姫会長

安春姫会長

私が子どもを朝鮮学校で学ばせている一番の理由は、大人になったときに日本社会で朝鮮人として堂々と生きていってほしいからだ。数年前、日本の幼稚園に子ども送る在日の母親が「在日であることを子どもに伝えることが怖い」と泣きながら話していた。何の引け目や後ろめたさもなく、日本で朝鮮人として育つには民族教育が本当に大事だと痛感した。子どもたちは朝鮮学校でたくさんの仲間たちや先生方、日本の方々に支えられながら朝鮮人として成長している。私は祖父の代から守られてきた大切な財産である朝鮮学校や在日朝鮮人のコミュニティーをこれからもしっかりと守り、後代に渡したい。

日朝国交正常化をすすめる神奈川県民の会・原田章弘共同代表

原田章弘共同代表

幼保無償化制度の理念はすべての子どもたちの健やかな成長を支援するということ。「すべての子どもたち」の中に、朝鮮幼稚園の園児は含まれないのか。朝鮮幼稚園の子どもたちの「健やかな成長」は支援しないのか。制度の対象から特定の子どもたちを除外し、差別することはあってはならない。後世に笑われてしまうような恥ずべき問題で、即刻、改めるべきだ。先日、神奈川県川崎市が罰則付きのヘイト禁止条例を施行した。国が幼保無償化の対象から外国人幼稚園を除外したことはまさに、その条例に該当するような官制ヘイトにほかならない。今日、提出された多くの署名は神奈川県民の声だ。その重みをしっかりと受け取ってもらいたい。

かながわ朝鮮女性と連帯する会・陣内絹恵さん

陣内絹恵さん

「連帯する会」の活動を通じて在日の女性たち、朝鮮学校のオモニたちと交流している。その中で、在日の方々が日ごろから地域に根差し、いろいろな形で苦労しながらも朝鮮人としての誇りを持ってとても明るく、強く生きているということを感じた。朝鮮学校が人間としてのプライドや民族のアイデンティティーをしっかりと認識させてくれる場であることが大きな要因だと思う。街角で署名活動をしていると、差別的な言動やヘイトスピーチをたくさん耳にする。幼保無償化や高校無償化など、不平等な制度や法律が日本市民らのヘイトを助長しているということをしっかりと認識すべきだ。

長野初中・河舜昊校長

河舜昊校長

日本で多文化共生という言葉が聞かれるようになって久しい。文科省を訪れるにあたって、改めてこの言葉の意味を調べてみた。日本における多文化共生とは、在住外国人を日本社会の構成員としてとらえ、多様な国籍や民族などの背景などを持つ人々がそれぞれの文化的アイデンティティーを発揮できる豊かな社会を目指すことだ。朝鮮幼稚園をはじめとする外国人幼稚園が幼保無償化から除外されていることは多文化共生という日本が目指す社会を真っ向から否定し、それを認めないばかりか、日本政府みずから差別政策を実施し、差別を助長していることにほかならない。在日朝鮮人も日本社会の構成員である。子どもたちが将来、幼稚園のころから差別をうけていると知ったとき、どう思うだろうか。

幼保無償化を求める長野朝鮮幼稚園保護者連絡会・申賢麗代表

申賢麗代表

小学校から大学まで朝鮮学校に通った。情勢や経済状況が苦しいなかでも朝鮮学校に送ってくれた両親にとても感謝している。私も両親同様、日本で生まれ育ちながらも、自分のルーツを知り、誇りをもって立派に生きていってほしいと願い、子どもを朝鮮学校に送っている。私が高校生の時、大学受験資格の問題があった。現在、高校に通う息子は高校無償化問題の当事者だ。そして今回、幼い幼稚園の子どもたちまで差別の対象となった。日本社会が望むグローバルな人間というのは多種多様な社会環境の中から育まれていくのではないか。多種多様な社会を目指すといいながら、幼保無償化から外国人幼稚園を除外するのは明らかな矛盾だ。

日朝松本市民会議・荒井宏行事務局長

荒井宏行事務局長

日朝松本市民会議では日ごろから松本市にある長野初中で民族教育について学び、また「学習田」という田んぼで子どもたちと交流も行っている。国、地方、政治など、さまざまな問題があるかもしれないが、いかなる差別も絶対にあってはいけないというのがわれわれの一貫した思いだ。教育や行政が政治に翻弄されるべきではないし、教育の機会は等しく保障されなければならない。それを実現するのが文科省の仕事ではないか。幼保無償化問題を含め、なぜ、朝鮮学校を取り巻いてこのような差別的な状況が生まれているのか。いまだに理解ができない。教育に関してはしっかりと公平な立場で考えてほしい。

日朝長野県民会議・松澤佳子代表委員

松澤佳子代表委員

現在、世界的に黒人差別の問題が大きくなっている。そこで言われているのは制度的・構造的な問題の上に差別が成り立っているということ。幼保無償化制度は国が始めた制度であり、国と地方の枠組みである。子どもの権利条約や日本国憲法などに鑑みて、平等な制度であると言えるのだろうか。幼保無償化制度の仕組み自体が差別を生んでいる。そこをしっかりと考慮して、よりよい制度とするために改善されることを願っている。

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