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〈取材ノート〉現在にも通ずる警鐘のことば

昨年6月、熊本地裁はハンセン病患者家族の差別被害に対する責任を認め、国に賠償を命じた。当時、安倍首相は「謝罪」し控訴を断念することを発表。同年11月には家族補償法が施行された。

取材ノートあの判決から1年。これまで多くの患者や回復者たちが差別や偏見にさらされ、家族にも伝えることができず苦しんできたことなどが起因し、家族補償法の施行後も申請者は全体の2割強にとどまるという。

日本では1931年の「らい予防法」成立を機に、国が主導し「ハンセン病絶滅政策」がとられた。差別や偏見を社会に拡散したこの法律が廃止されたのは、それから65年後の1996年。以降、2001年に国のハンセン病患者に対する政策の誤りを認め、国に対し損害賠償を命じた「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟で勝訴判決が出た。このように、ハンセン病患者やその家族たちの人権が法的に保障されたのは、ごく最近のことである。

65年という長い歳月に、社会と断絶され、あらゆる偏見と差別のなかで生きたハンセン病患者・回復者とその家族たち。在日同胞患者たちは、その差別・偏見とともに根深く存在した民族差別のなかに生きていた。

ハンセン病患者・回復者による運動の中心に立ち、一昨年に他界された故・金相権さんは、生前、こう語った。

「無知から勝手に憶測をして、偏見や差別を生む。物事はなにごとも自分で確かめて、正しく判断してほしい」

金さんの言葉は、無知を基盤に、排他的かつ歴史修正の流れに対する危機意識さえ希薄な今の日本社会にも通じている。この現実をしっかりと考えなくてはならない。

(賢)