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「再会」に喜び、弾ける笑顔/西東京子育て広場「とるがっぽ」、オンラインで開催

2020年05月29日 16:01 主要ニュース

のべ87人参加

西東京在日コリアン子育て支援ネットワークが試みた「Zoomとるがっぽ」では、学齢前児童やオモニたちがオンラインでつながった

新型コロナウィルス感染拡大を受けて外出を自粛している学齢前児童やオモニたちのために、西東京在日コリアン子育て支援ネットワークが運営している西東京子育て広場「とるがっぽ」が、オンラインで開催された。5月21日の「Zoomとるがっぽ」には、午前と午後の部に延べ87人が参加。各種企画では親子たちの笑い声が飛び交った。

「できることがあるなら」

2008年に始まった「とるがっぽ」は毎月第3木曜日に欠かさず開催されてきたが、今年3、4月はコロナウィルスの影響により中止せざるをえなかった。

集まる機会が減れば、お互いへの関心は薄れてしまうもの。ところが西東京では、幼い子どもを持つ家庭同士のつながりが途切れずにいた。子育て支援ネットワークが独自のFacebookページ「西東京・子育て交流ひろば」を活用し、各家庭の近況や子育てに役立つ情報などを毎日のように配信してきたからだ。あるオモニはこの間、「#コロナに負けるな西東京」というハッシュタグ付きの投稿を見ては、何度も力をもらったという。

そんなある日、「とるがっぽ」の参加者から「オンライン上で集ってみてはどうか」との提案が上がった。

「本当にできるのか見当がつかなかった」というのが、子育て支援ネットワークのメンバーたちの本音だった。しかし「できることがあるなら取り組んでみよう」(女性同盟本部の張敬愛子育て支援部長、51)と、各支部の子育て支援部との協力のもとで準備が進められていった。

参加者たちから好評だった「マジックシアター」

5月18、19、20日の朝と夜には各40分間、オンライン上で「お試し会」を実施。そこでさまざまな企画を試み、本番のための意見交換も行った。「お試し会」には、西東京全域の学齢前児童とオモニに加え、Facebookグループのメンバーなら誰でも自由に出入りできるようにし、準備過程をFacebook上で毎日紹介した。

こうして迎えた当日、主催者の不安をよそに、午前の部には45人(大人23人、子ども22人)、午後の部には42人(大人18人、子ども24人)が集まった。

オンライン上であいさつを交わし、久しぶりの再会を喜ぶ参加者たち。特に子どもたちは、画面の奥で何が行われるのかと、興味深々の様子だった。

オモニたちの思い

「だれのしっぽ?」。「ペープサート」(紙人形劇)では、歌に合わせてとクイズが出された

午前と午後、各40分間の「Zoomとるがっぽ」は盛りだくさんの内容で行われた。

クリアファイルと画用紙で作ったスクリーンから、さまざまな動物が飛び出す「マジックシアター」、歌に合わせて「だれのしっぽ?」とクイズを出す「ペープサート」(紙人形劇)が行われると、先を争って答えを当てようとしていた子どもたち。

「色探し」ではお題の色を聞くや自宅を駆け回り、「絵本の読み聞かせ」では画面に釘付けになりながら内容に聞き入っていた。最後は、朝大教育学部保育科のオリジナル「昆虫体操」の音楽に合わせ、みんなで踊りを楽しんだ。

4月に西東京第1初中付属幼稚班に入園した金芽綺さん(3)はこの日、可愛らしいおめかしをして参加した。母の尹理実さん(30)によると、生後5ヵ月の頃からほぼ毎回「とるがっぽ」に顔を出してきた娘は、2カ月ぶりに友達と再会できることを心待ちにしていたのだという。

子どもたちは画面越しで行われる各種企画に興味深々

外出自粛期間、尹さんは子どもと触れ合う時間が増えたことで「成長をすぐそばで見られるようになった」と話す。一方で、子どもとの過ごし方を考えるのに「頭がいっぱいだった」とも。「なので、こんな企画を1日に2回も組んでくれたことが本当にありがたかった。子どもたちも思い切り楽しめたみたい」。尹さんはそう喜んでいた。

「Zoomとるがっぽ」では、西東京出身で他地域に住むオモニたちの姿も見られた。大田区在住で、東京第6初級に子どもを送る車水蓮さん(36)もその一人だ。

大田地域のオンマオリニサークル「ピョルムリ」の責任者を務める車さんは、生まれも育ちも西東京。結婚を機に大田に引っ越したが、「『とるがっぽ』の活動には常々関心を持っていた」。今回は子育て支援ネットワークのメンバーから声をかけてもらい、参加することになったという。

「地域を盛り上げるために奮闘するオンニたちから力をもらい、朝青時代の知り合いたちが活動に参加する姿も見れて嬉しかった。西東京での試みを参考にして、『ピョルムリ』でもさまざまな企画に取り組んでみたい」(車さん)

子育て支援ネットワークのメンバーらが「Zoomとるがっぽ」を運営した

イベント終了後、子育て支援ネットワークのメンバーのもとには「みんなに会えて元気が出ました」、「子どもたちがまだ余韻に浸ってます」など、喜びの声がたくさん届いた。

子育て支援部を担当する女性同盟本部の韓英淑副委員長(54)は「寂しい思いをしているオンマ、オリニたちに少しでも力を与えられたのならよかった」とし、「『とるがっぽ』を同胞たちの心の拠り所にできるように、今後も絶えず方法を模索していきたい」と語った。

「とるがっぽ」の名前の由来は、1996年、西東京のオモニたちが開催した子育て支援企画「モヨラ!トルガボ」にある。団結の力を示す「トル」、未来を切り開くハサミの「カウィ」、そして子どもたちを温かく包み込む懐、ふろしきを意味する「ポ」。

子育て広場「とるがっぽ」には、いつも変わらぬオモニたちの思いが詰まっている。

(李永徳)

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