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新型コロナ・各地同胞商工人の現状と商工会の献身(上)

2020年04月17日 14:32 暮らし・活動

普段は多くの人でにぎわう札幌市の繁華街も、コロナの影響で人通りがまばらに(4月中旬撮影)

「同胞商工人と一心同体で」/北海道商工会

北海道では2月28日に新型コロナの感染拡大を受け、道知事が独自に緊急事態宣言を発令した。これにより3週間にわたり週末の外出を自粛するよう要請が出され、客足の減少などにより道内の同胞企業も甚大な被害を被った。

北海道商工会では2月に入り会員たちからコロナ関連の相談を少しずつ受けるようになったが、緊急事態宣言を境に相談件数が急増。40件を超える相談が商工会に寄せられた。

同商工会が把握した情報によると、札幌市内の繁華街にある飲食店や遊技業などで被害が大きく、売り上げの激減により従業員の給料や家賃が工面できない企業や店舗が多く、また、札幌市内のみならず、函館、小樽、北見などの道内各地でも水産加工や観光業を営む同胞企業がコロナの影響を大きく受け、経営難に陥っている。

「2月の緊急事態宣言以降、普段は大勢の観光客や市民らでにぎわう札幌市の繁華街からほとんど人がいなくなった。また道内の観光地に店舗を構える会員からは『街には人っ子一人歩いていない』との話も聞いた。経営が立ち行かなくなり、廃業を検討している同胞もいる」。北海道商工会の李紅培総務部長はそう危機感を募らせる。

北海道商工会ではこの事態に対処すべく相談窓口を設け、会員らに融資の案内や、煩雑な業務がともなう各種補助金・助成金、休業補償等に必要な書類作成や申請をサポートするなど支援にあたっている。また直接相談を受けた案件以外にも、道内各地の同胞商工人らに連絡を取り、被害状況や要望などを随時収集。総聯本部と支部、青商会や金剛保険などと情報を共有しながら、一つひとつの案件の解決のために真摯に取り組んでいる。

商工会の献身的なサポートに会員から感謝の声が届いている。

「飲食店を営むある会員を訪ねると、『こんなときに本当にありがとう』とねぎらいの言葉をもらった。またある商工人からは『商工会の活動家が倒れてはいけない』とマスクの寄贈を受けた。商工会と同胞商工人は一心同体。この苦境の中で同胞らが何とか踏みとどまれるよう、これからもしっかりとサポートしたい」(李総務部長)

3月中旬以降、一時は日あたりのコロナ感染者数がひと桁台で推移していた北海道だが、4月に入り感染者数がまた増加傾向にある。政府が北海道を新たに「特定警戒都道府県」の対象に含めたこともあり、道内でも状況改善の見通しは依然として立っていない。

北海道商工会の崔寅哲理事長は「過去に例を見ない危機が同胞商工人たちに訪れている中、こういうときこそ『同胞企業第一主義』のスローガンをより高く掲げ、同胞愛の精神で誠心誠意、できる限りのサポートをしていきたい」と話した。

(丁用根)

親身なサポートで「心が軽く」 /福岡県商工会

福岡県商工会では4月10日に各地域商工会の商工部長らによる会議を持ち、新型コロナウィルス感染拡大と関連した会員たちの相談案件、被害状況などについて情報を共有した。

相談件数が多かった地域は、小倉(43件)、福岡(30件)、八幡(15件)。特に飲食業での被害が深刻で、多くの店舗が休業状態となっている。各地域商工会では会員たちの案件に応じて支援制度を紹介するほか、各種補助金・助成金、融資などを受けられるようサポート活動に取り組んでいる。

小倉地域商工会の会員が事業者を務める北九州市南区のデイサービスには、普段であれば60~90代の高齢者約40人が足を運んでいた。しかし、北九州市での感染が拡大し始めた4月初旬から利用者が著しく減少し、4月10日時点では20人ほどに落ち込んでいる。

いまのところ売り上げの減少は深刻化していないものの、利用者の減少が続けば、正社員、パート合わせて13人のスタッフたちの雇用問題に関わってくる。雇用調整助成金を申請して営業時間を短縮するのか、利用者数に応じて休みを取らせるのか。ウィルス感染の収束時期が予想できないため、事業の先行きは不透明だ。

デイサービスでは感染防止対策を講じ、手洗い、うがい、アルコール消毒、検温などを徹底している。が、万が一のことが起きるとも限らない。重症化リスクが高い高齢の利用者から感染が確認されたら…。同会員は「今後への不安は絶えない」と苦しい胸の内を明かした。

「国が介護・福祉事業所に継続的なサービス提供を求めている現状では、休業することができない。休業補償が適用されるのであれば、すぐにでも店を休みたい」

同会員は不安を抱えながら小倉地域商工会に相談をもちかけてみた。すると、いくつかの案を提案され、最終的にセーフティーネット保証のための認定を申請。10日ほどで銀行からの融資を受けられたという。これによって、デイサービスで働くスタッフたちの給料を保障できるようになった。

同会員は「初めてのことだらけで何から着手すればいいのかわからなかったけど、商工会が親身に手助けしてくれたおかげで心が軽くなった」と語った。

福岡県商工会の李相木副理事長は、「同胞商工人らを取り巻く状況は日々変わるはず。各々の案件に対して最善策を講じられるよう、各地域での情報共有、経験交換をしっかり行っていきたい」と語った。

(李永徳)

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