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非人道的で差別的措置/埼玉朝鮮幼稚園へのマスク不配布問題

関係者らが2回目の抗議活動

さいたま市が埼玉朝鮮幼稚園を備蓄マスク配布の対象から除外している問題で、幼稚園関係者や保護者たちは12日、市役所で2回目となる抗議活動を行った。前日を上回るおよそ30人の関係者らが訪れ、新型コロナウイルスの感染が日ごとに拡大している「緊急事態」の中、マスク不配布は「生命にかかわる重大な問題」と訴え、一刻も早い対応措置を市に強く求めた。

緊急事態に線引き、おかしい

およそ4時間にわたって行われた11日の抗議活動では、在日本朝鮮人人権協会の金奉吉会長が抗議文を提出し、早急に朝鮮幼稚園を配布対象に含めることを要求。担当部署である子ども未来局の金子博志局長が幼稚園関係者らの要請に対し、配布対象を再考する意向を表明した。

市役所へ向かう保護者たち

午後3時ごろから始まったこの日の抗議活動の冒頭、清水勇人市長あての要請文を読み上げた埼玉朝鮮幼稚園保護者連絡会の尹致力共同代表は「民族や性別等の違いを超え、地域、集団が一丸となって危機的状況を乗り越えようとする中、今回のさいたま市の施策は特定の集団を排除する理不尽極まりない決定だ」と非難。人権や人道上の観点からも許しがたい行為であるとし、すべての市民を平等に扱うべきだと主張しながら新型コロナウイルス感染防止措置として教職員用マスクの配布対象に埼玉朝鮮幼稚園を含めることなどを求めた。

また、同じく同連絡会共同代表の金初美さんは、日本中が新型コロナウイルス対策に力を入れている中で、今回の市の措置は国の方針に背き感染拡大を促すような行動であると糾弾。「マスク一枚、マスク一箱が欲しくて来ているわけではない。今朝、学校の校門前にはマスクや消毒液が置かれていた。温かい日本の方々から多くの連絡ももらった。私たちがその行動に元気を得る以上に、市がそれに救われているという認識を持つべきだ」と市の姿勢を非難した。

埼玉朝鮮幼稚園保護者連絡会名義の要請文を提出した

埼玉初中の鄭勇銖校長は市の措置について「衝撃的な話で、憤りを感じた」としながら「昨年、子ども未来局の職員が同校幼稚園に視察に訪れ、他の幼稚園と何ら変わりない施設であることを確認し、その際、その職員の方は『子どもたちの笑顔に癒された』とまで言った。それでこの対応なのか。この非常事態に対象施設を線引きすることは行政の行うことなのか」と強く非難し、具体的な対応策を即時講じることを要求した。

埼玉朝鮮幼稚園の朴洋子園長は同園へのマスク不配布をめぐっての一連のやり取りや、前日の抗議行動について述べながら「昨日、今日で時間がなかったというが、対応を決めることがそんなに大変なことなのか。この緊急時にコロナウイルスに関する問題は最優先課題として扱われてはずだが、朝鮮幼稚園に対し市の監督下にないという一言で線引きし、『あなたたちは勝手にやってください』という態度はどうなのか」と問い正し、生命にかかわる問題を市が重く受け止めて全ての市民を差別なく平等に扱うことを求めた。

「不配布の正当性に固執」

新型コロナウイルス感染が広まる中、早急かつ具体的な対応を求めた関係者らに対し、前日に続き応対した子ども未来局の部長らはマスコミの報道などを受け市に多くの意見が寄せられていると述べた。また前日の抗議活動終了後に局内で話合いの場を設け、市長と副市長にも現状報告を行ったことを明かしたが「対応については現在、検討段階であるということしか言えない」とし、具体的な対応策などについての回答はしなかった。

抗議活動ではその後も保護者とのやり取りが続いたが、部長らは「今後、配布対象についてはもう一度検討する」「朝鮮幼稚園を配布対象に含めるかについて、現段階で言えることはない」など、従来の主張を繰り返すにとどまった。

2回目となる抗議活動が行われたが、市からの明確な回答はなかった

明確な回答を示さない市に対し、参加者からは非難の声が相次いだ。

「市の姿勢を見ていると、マスクを渡さない理由を考えているとしか思えない」「速やかに結論をだしてほしい」「今、この瞬間に子どもたちが感染したらどうするのか」

鄭勇銖校長は「もう一度しっかりと聞いていただきたい」と前置きしたうえで「私たちはマスクが欲しくて来ているわけではない。さいたま市にある幼稚園に対して、子どもたちの未来を担うはずの子ども未来局という部署が、このような緊急時に非人道的で、差別的な市の態度をとっていることを問題視している。それを全く鑑みなかったことにこの問題の本質がある」と語気を強め、市が適切な対応を取るよう重ねて訴えた。

参加した関係者からは市の姿勢に対し非難の声が相次いだ

1時間半に及んだ抗議活動の最後に、マスク配布の対象施設を決裁した金子博志局長との面会を求めた関係者らに対し、子ども未来局の職員らは翌日(13日)の午前中までに幼稚園側に日程を伝えることを明言した。

自身の孫が埼玉朝鮮幼稚園に通う60代同胞女性は抗議活動終了後「職員たちは朝鮮幼稚園がさいたま市の指導監督施設の対象外の一点張り。園長や保護者たちがその差別の不当性や理不尽さを自らの言葉で切々と訴えても、マスク不配布の正当性に最後まで固執していた。命の平等を訴えたオモニたちの知性や品性が全く通用しなかった」とし、「差別や偏見、無知がはびこる日本社会の構図を見るようだった」と強い憤りを見せた。

(丁用根)