〈人・サラム・HUMAN〉総聯三重・伊賀支部委員長／金栄泰さん（58）

「忍者の里」で有名な三重県・伊賀市出身。大阪朝高、朝大外国語学部を経て、卒業後は母校の四日市初中で教壇に立った。現在は自身の会社を経営している。

05年、総聯伊賀支部会館が改築され「伊賀コリアン会館」に改称されたのと時を同じくして、長年支部委員長を務めた父の金正一さん（89）から委員長の職を引き継いだ。翌年からは金さんらが中心となり、同胞や日本人を招いて「伊賀コリアン新年会」を毎年開催している。「伊賀は同胞が少ない地域だけど、『伊賀同胞社会は生きている』ことを実感できる貴重な場だ」と目を細める。

数年前からは市内の日本学校で「在日朝鮮人」をテーマに講演も行っている。「伊賀の日本学校にも朝鮮人であることを隠しながら通っている子が多い。そんな子たちが自分たちのルーツについて少しでも誇りをもってもらえたら」。

朝大外国語学部同窓会の副会長も務める金さん。会社経営、支部委員長、同窓会副会長に地域学校の「講師」。「4足のわらじ」を履くのは労がいるが「誰かがやらないといけないなら、自分がやる」。

「伊賀同胞社会も母校も『在日』のルーツも、自分にとってはみんな大事。それらを守るために自分ができることがあるなら喜んで引き受けるし、これからもすべての仕事に全力で取り組みたい」

（根）