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〈ものがたりの中の女性たち 32〉私の苦労に比べたら胡麻粒にも及ばない/金氏

2020年03月30日 14:40 主要ニュース 文化・歴史

あらすじ

粛宗王の時代、都に住む李春風は家庭を顧みず放蕩三昧、二十歳になる前に親の遺産を食い潰す。春風が家に帰ると妻金氏に諭され、放蕩を反省し誓約書を書く。商人朴萬得が金で猟官するという噂を聞き、崔参判につてを頼ろうとするが酒だけ飲まされ体よく追い返される。金氏は夫の「更生」を信じ必死に働くが、春風は官から二千両を借り、妻が内職で貯めた五百両を取り上げたあげく、平壌で一旗揚げると言い出て行く。

春風は平壌一の妓生秋月に誘惑され、商売もせず一年で有り金を騙し取られ、居続けで馬鹿にされながら秋月の使用人に成り下がる。夫の消息を噂で聞いた金氏は情けなさに自害しようとするが、思いとどまり一計を案じる。裏手に住む参判が亡くなり、年若い長男の将来は約束されてはいるものの今は貧しく食事にも事欠くあり様。未亡人が飢えで動くこともできず横になっていることを知り、毎日のように食事を運ぶ。

しばらくすると参判が平安監使に赴任、母に聞いたこの間の金氏の行いに恩を感じ望みを聞くと、金氏は裨將(本来は司令官を補佐する武官の意だが、朝鮮後期には公文書の伝達や官庁の営繕、軍営の会計や帳簿付けなど補佐的な仕事の総称)になり男装して平壌に付いて行きたいと言う。秋月の家に行き彼女の奸計と夫の乞食のような姿を確認すると、秋月を鞭打ち五千両を夫に返すよう命じ、春風も鞭打ちその罪を明らかにする。春風は意気揚々と家に帰るが、裨將の姿で現れた妻に詰られ意気消沈する。裨將が妻であったことを知った春風は大いに恥じ、放蕩をやめ勤勉に働き穏やかな家庭を築く。


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