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長崎の朝鮮人遺骨17柱、国平寺に送還/“遺骨送還を統一へとつなげる運動へ”

2020年02月18日 16:06 主要ニュース

長崎強制連行朝鮮人犠牲者および被爆者遺骨送還のための追悼法要が11日、東京の国平寺で営まれた。これに先立ち9日には、長崎県松浦市志佐町に位置する「朝鮮人慰霊塔」前で追悼法要が営まれ、同慰霊塔の納骨堂に安置されていた遺骨17柱が、将来祖国へ送還されることを願い、国平寺に預けられた。総聯長崎県本部と「長崎在日朝鮮人の人権を守る会」による先行聞き取り調査(19年3月11〜12日)の結果、遺骨17柱のうち、4柱が長崎で被爆した朝鮮北部黄海道出身者、13柱は強制連行関係の犠牲者である可能性が指摘されている。

2カ所で追悼法要を実施

長崎強制連行朝鮮人犠牲者および被爆者遺骨送還のための追悼法要が11日、東京の国平寺で営まれた。総聯長崎県本部の金鐘大委員長、総聯西東京本部の金益淳委員長、朝鮮人強制連行真相調査団の金哲秀事務局次長、在日朝鮮人平和統一協会(平統協)の宋忠鉐事務局長、西東京東部支部管下の同胞、朝鮮大学校の学生たちが参加した。

長崎県松浦市の「朝鮮人慰霊塔」から遺骨17柱が国平寺に送還された

今回の追悼法要は、57年に総聯松浦支部が建立した「朝鮮人慰霊塔」に安置されていた17柱の朝鮮人遺骨を、祖国に送還するための事業の一環として行われた。

今月9日には、総聯長崎県本部の金鐘大委員長、総聯福岡県本部の李周学委員長、総聯佐賀県本部の林丈一委員長、長崎県商工会の金炯潤会長をはじめ、同胞、日本の市民たちの参加のもと、「朝鮮人慰霊塔」前で追悼法要が営まれた。その後、国平寺の尹碧巌住職の手で、遺骨17柱が1200㎞離れた国平寺に送還された。

国平寺で行われた追悼法要では、長崎強制連行朝鮮人犠牲者と原爆犠牲者へ黙とうがささげられ、尹碧巌住職が読経を行った。

数十年の時を経て

今回、送還された遺骨17柱には、原爆で亡くなった同胞や強制労働の犠牲となった同胞たちの遺骨を統一した祖国へ送還すべく、朝聯傘下で結成された「朝鮮人遺骨奉還会」が収集した朝鮮人遺骨154柱の一部が含まれる。

「朝鮮人遺骨奉還会」が収集した遺骨は朝聯の強制解散を機に日本当局に接収され、現地の寺に預託された後、民団の手によって持ち去られ無断で南朝鮮に送られる。その後、一部の朝鮮半島北部出身者の遺骨のみが長崎県に戻され、松浦市の「朝鮮人慰霊塔」に納骨された。

国平寺に送還された17柱の朝鮮人遺骨

「朝鮮人遺骨奉還会」の委員長を務めた故・金順相氏(元・朝聯長崎県本部幹部)は、当時の心境を「朝鮮が統一するまで日本政府が全責任を持って(朝鮮人遺骨を)保管する義務がある。私たちの手から強奪したのだから」「朝鮮から多数の同胞を日本に強制連行し、それに強制労働をさせて死なせ、原爆で焼き殺し、その骨の保管責任まで放棄した日本政府の怠慢と、無責任さには、心の底から怒りを覚える」と証言している。(「長崎在日朝鮮人の人権を守る会」岡正治氏による聞き取りから)

「朝鮮人慰霊塔」前で行われた追悼式(9日、国平寺提供)

分断体制下で翻弄された朝鮮人遺骨は、今回の国平寺への送還を機に、数十年の時を経て祖国送還への第一歩を踏み出した。

「朝鮮人慰霊塔」前での追悼法要に参加した

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