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〈それぞれの四季〉サイエンスの先に/李勇燦

2020年02月03日 11:18 コラム

朝大理工学部、東京大学大学院博士課程を経て、2018年6月からドイツで生活を始めた。博士研究員としてマックス・プランク生物物理学研究所で働き、生命のしくみを原子レベルで明らかにする研究をしている。

渡航直後、リンダウ・ノーベル賞受賞者会議に出席することができた。歴代のノーベル賞受賞者38名と、世界各国から推薦された600名の若手科学者が集まり、講演やディスカッションを通じて一週間を共にする夢のような会議だ。光栄にも、朝大卒業生として平壌科学技術大学から推薦をいただいた。

ノーベル賞受賞者たちから印象深い言葉を聞いた。

「研究を続けるにはどうすればよいかとよく聞かれる。私は工作好きの趣味みたいなものじゃないかと思っている。考え、手を動かすことが楽しい。楽しめないなら長続きしないだろう」

研究者のキャリアパスは茨の道だ。論文を数多く出し、競争に勝ったものが生き残る。ここ数年間、いかに競争力を上げるかということで頭がいっぱいで、寝る間を惜しんで実験と執筆にいそしんだ。でも、この言葉を聞いてハッとさせられた。科学って成功するためにやるもの?

成功を通じて同胞社会に夢を分ける。この信念は今も変わらないが、サイエンスの先を見るにはそれでは足りないのだろう。疑問を大切にして、解く過程を楽しむ。その先に大発見や成功があるかは分からないが、長く続けたいからこそ、そちらの方を大事にしたい。

(ドイツ在住、博士研究員)

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