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〈取材ノート〉今日もまた

2019年06月13日 12:26 コラム

今月20日から映画「에움길(回り道)」が南朝鮮で公開される。「ナヌムの家」で共同生活を送る日本軍性奴隷制被害者たちの日常にフォーカスしたこの作品。ナレーションの声は、日本軍性奴隷制被害者のイ・オクソンさんが務めた。

南での報道によれば、11日に行われたメディア試写後の記者懇談会に同席したイさんは、改めて日本政府に対し公式謝罪と法的賠償を要求しながら「15歳のとき大通りで男二人が前をふさぎ、私を連れて行った。…ハルモニたちが嘘をついていると言われるがあまりにも悔しい。私たちは慰安婦ではない。強制的に連れていかれたのにどうして慰安婦といえるのか」と声をあげたという。そして「後世のために、たとえハルモニたちが皆居なくなったとしても、この問題は必ず解決しなければいけない」と強調した。

近年だけで、立て続けに公開される日本軍性奴隷制被害者たちを題材にした映画は、被害者の声を直接聞くことのできる時間がもう長くないこと、それほど問題解決が切迫するものであることを如実にあらわす。

日本政府が加害事実を否定し逃避する今この瞬間が、被害者やその家族、虐げられた苦しみを共にする人々にとっては、尊厳回復のために残された貴重な時間なのである。

日本社会を見渡せば、凶悪事件が起きるたび依然として「犯人は在日」などと、根拠のないデマが拡散される始末。加害に対する忘却が生んだ産物でしかない。

過去を省みない日本政府の姿勢に、今日もまた誰かが傷を負っている。(賢)

 

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