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〈学美の世界 7〉「それでいい」から生まれる作品たち/李民花

2019年04月26日 14:42 文化

「それでいいんだよ。ここにいていいんだよ」。どこか聞き覚えのある某漫画キャラクターの常套句のようだ。学生美術展はこの言葉のように、多様な「個」を「それでいい」と祝福し肯定する。

展覧会で「これっていいんですか?」と訊かれることが正直多い。いつからか私たちの中に植えつけられる「境界線」「こうするべき」という基準…その「何か」からはみだしていないのかと不安げに訊く。子どもたちも授業中訊くことがある。現場教員たちは皆こう答えるはずだ、「いいんです」と。授業中それを聞いた子どもたちは何かから解き放たれたかのように歓喜し「なにをしよう?」「どうやってしよう?」…それぞれ勢いよく考え活動するのだ。

現場の教員はそんな子どもたちに寄り添い、時に彼ら彼女らが望めば動く。子どもたちの自主性を重んじ見守るのだ。そんな中で生まれた作品たちなので、子どもたちの思念が憑依してしまっている。天然ものである。もはやそれは沈黙する紙ではなく、生命力に満ち、まぶしく、尊く、いびつながらも愛しく美しく、精いっぱい「私はこれが好き!」と謳歌する思念体だ。自由すぎる思念にあてられ戸惑う人もいるほどだ。そして見る人をも同時に祝福し解放し多幸感を与えるのだ。

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