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〈取材ノート〉日常の至る所に

2019年04月25日 11:30 コラム

政府主導の入管法改正に伴い4月1日、新たな在留資格制度「特定技能」が施行され、初年度となる今年は最大4万人強の外国人労働者を受け入れるという。

一方、ネット上での誹謗中傷を筆頭に既存の在日外国人を取り巻く人権現状は、昨今一層深刻さを増しており、特定の民族に対するヘイトクライムが後を絶たない。6月にはヘイトスピーチ解消法施行から3年となるなか、現行法の整備は喫緊の課題であろう。

各紙報道によれば、朝鮮学校への適正な補助金交付を求める声明などを出した全国の弁護士会に対し大量の懲戒請求が相次いだ問題で4月11日、請求者712人を相手取り神奈川県弁護士会所属の日本人、在日同胞弁護士2人が提訴。17年以降、2人には5千件超の懲戒請求が寄せられたという。同日には、該当弁護士が同席のもと、過ちを認め請求を取り下げた60代男性が会見し「ただの差別だと気づいた」と述べる始末。

そもそも訴えられるまで、なぜ自身の差別行動に気づけなかったのか―。法による規制促進に異論はないが、「安易な」差別行為までをも容認する日本社会の危うさ、その原因が果たしてどこにあるのかを考える必要がある。

異例ともいえる懲戒請求事件の根は、私たちが住む日常の至るところに潜んでいる、そう思わざるを得ない今日この頃だ。

(賢)

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