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〈取材ノート〉「大きな背中」に教わる

2018年11月12日 07:04 コラム

「分会長と言えば年寄りの役割だと思っていたのに自分もそんな歳か」。総聯山梨・中央支部甲府分会の再建の集いで冗談を飛ばす分会長。今年で67歳だが参加者では若い方だ。次世代をいかに網羅するか。後進育成の壁は、同胞たちに「民族教育の重要性」を思い起こさせていた。

ウリハッキョ。そこは言葉を学ぶだけでなく、「私は何者なのか?」という問いへの答えを導き出す自己確立の段階、たくさんの愛情が行き交う中で他者を思いやる気持ちを育むコミュニティーでもある。いずれ子どもたちは力強く羽ばたいていき、寒風が吹きすさぶ嵐を抜け、一回り成長した姿で帰巣して地域同胞社会を担うようになる。

このような好循環が生まれる地域が存在する一方、朝鮮学校から離れた過疎地域の現実は厳しい。「ウリハッキョに通いたくても通えない青年たちがいる」。いつも快活に話す総聯鹿児島県本部委員長が、ふと声のトーンを下げた。県内の青年の半数以上がその状況にある。

未来への投資が実を結ぶとは限らない。それでも後代のために青年学校を地道に運営し、15年には新たに総聯本部会館を竣工。ついには今年9月に63年の総聯鹿児島運動史で初めて朝青組織が結成された。

「犠牲を厭わない総聯本部のメンバーに感化された」とは日本学校出身の朝青委員長の言葉だ。内なるものを涵養した「大きな背中」が、青年たちにとってはかけがえのない教育だった。

(徳)

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