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〈バスケ選手権〉熱い思い交差した2日間

2018年09月04日 11:48 スポーツ

1日~2日にかけて北九州市で行われた在日本朝鮮人バスケットボール選手権大会。選手たちは男女の部門で熱戦を展開した。

男子は3年ぶりに東京が優勝した

男子部門には9チーム(東京、神奈川、埼玉、愛知、京都、大阪、兵庫、福岡、M選抜)が出場した。初日のリーグ戦を突破した東京と兵庫(77-63)、大阪とワイルドカードの神奈川(75-61)が2日目の準決勝でぶつかり、それぞれ勝利した東京と大阪で決勝戦が行われた。

3連覇を狙う大阪と、優勝候補の一角と目された東京との決勝は、前回大会王者の大阪が必死に食い下がるも一歩及ばず。196㎝を誇るセンターの金賢選手(29)を軸にした固いディフェンスと、着実に点を重ねた東京が力を見せ、84-69で勝利し優勝した。

主将の孫昌洙選手(27)は、「昨年は決勝にも進めず悔しい思いをしたが、今年は少ない人数ながらも、センターの選手を軸に試合をうまく展開できたし、どのチームよりも走りきったと思う」と述べ築き上げた信頼関係を強調。そして、「今後は、個々の役割を高め、今以上に走れるチームをつくりたい。そのためには、高級部や大学を卒業した後輩たちを一人でも多く呼び込まなくては」と意気込んだ。

白熱した試合展開をみせた男子決勝戦

3チーム(東京、大阪、兵庫)が参加した女子部門の優勝の行方は、全チーム総当たり戦の末、東京と大阪に委ねられた。開始直後から両チーム一進一退の攻防が続くなか、7番の李弥愛選手(ガード)を中心に、果敢にリングに攻め込みシュートを決める大阪がペースを掴んだかにみえたが、迎えた最終クオーター開始直後、大阪のセンターが負傷交代。その後、接戦を繰り広げるも、試合残り5秒を残し東京が逆転。最後は持ち前のチーム力で守り抜いた東京が、53-52で念願の優勝を果たした。男子チームは3年ぶり、女子チームは14年以来、4年ぶりの栄冠を手にした。

接戦を極めた女子決勝戦。呉愛慶主将( 27 )は、勝因について「競っていたが頑張るべきところで皆の集中力が抜群に発揮された」としながら「今年のチームは、28から21までの比較的若いメンバーが集まった。年が近い分仲もよく、何でも言い合えるのでプレーするにも遠慮せずに声を掛けあえるのがチームの強み。これが活きた試合だったと思う」と感想を述べた。呉主将は、次回大会に向けて、「今年の経験を糧に周囲から倒すぞと思えるような強いチーム作りに力を注いでいきたい」と語った。

また大会最優秀選手には、男子・金賢選手(東京)、女子・沈里映選手(東京)が選ばれた。

“九州同胞社会見てほしい”

4年ぶりの優勝を果たした東京女子(白)

今大会、開会式での会長あいさつにはじまり、最も言及されたのは九州の地で初めて全国大会を開催したことについてだった。その立役者と皆が口をそろえるのは、福岡籠球団の陸寿男代表(36)だ。

16年10月、九州開催の話がもちあがって以降、「休む間もないほど準備に奔走してきた」と陸代表。これほど陸代表が開催に向けて力を注いだのには、今年で籠球団発足10年目という節目の年を迎えたことが理由にあった。

「九州の地で08年に籠球団を立ち上げ今年で10年になる。それから全国大会に出向く側として参加していたが、いつかは『九州の民族教育の姿、九州同胞社会の姿をこの地に来ることで直に知ってほしい』という思いがあった」。そんななか、「協会から良い機会をもらい、籠球団のメンバーに話をもちかけ皆でやってみようと立ち上がった」と陸代表。

最後まで接戦をきわめた女子決勝戦

開催が確定して以降、広告の協賛ももちろんだが、一番に力をいれたのが同胞たちをたずね一人ひとりに宣伝することだった。

「福岡県内はもちろん、鹿児島や熊本、大分など、同胞たちを訪ねては激励される日々の繰り返しで、籠球団全体で同胞たち一人ひとりと向き合える大切な期間だった」(陸代表)

結果、大会当日は、2日間で延べ500人を超える観客が体育館を訪れ、昨年まで10人たらずだった同籠球団のメンバーも、20人の選手を集めるという成果を生んだ。

一方、今年8月には、同球団の後援会が結成。「献身的に球団の発展に取り組む陸寿男代表の姿をみて協力したいとの思いで会長を引き受けた」と話すのは、張一男・後援会会長(34)だ。陸代表の後輩で、ともにプレーをした仲間でもある張後援会会長は、「自身も球団で長年プレーしてきたが、今後は後輩たちにバトンタッチをしてOBとして後援会を通じ全面的にバックアップしていきたい」と決意をあらわにした。

初の九州開催に尽力した福岡球団のメンバーたち(写真提供:在日本朝鮮人バスケットボール協会)

大会2日目、体育館の2階スタンドから、福岡チームの試合を熱いまなざしで見つめる同胞の姿があった。今から30年前の1988年、若干21歳で当時の北九州初中に赴任し、中級部バスケ部監督として同校を強豪校に築きあげた河徳珠さん(51)。

「ソンセンニムが居たから結果を残せたし、それを栄光として胸に刻んだメンバーたちが今も残って福岡籠球団で活躍している」と陸代表が語るほど、現在籠球団のメンバーのなかには教え子も多いという。

河さんは「またあのピッチに立って指導したいね。初めて九州でこんな大きな大会をして、全国の後輩たちがこうしてバスケを通じてつながりあってる姿をみて感無量だ」と目頭を熱くしていた。(韓賢珠)

 

【大会成績】

男子=①東京②大阪③兵庫

女子=①東京②大阪③兵庫

最優秀選手=男子-金賢(東京)、女子-沈里映(東京)

優秀選手=男子-孫昌洙(東京)、高尚範(大阪)、金起鉉(兵庫)、孔龍鮮(神奈川)

     女子-羅愛美(東京)、李弥愛(大阪)、金玲華(大阪)、徐侑希(兵庫)

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