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母校愛の結実、「輝く未来へ」花咲かす/四日市初中級チャリティー「シアリ公演2018~未来」

2018年01月24日 13:41 文化

朝青三重県本部が主導

フィナーレ「輝く未来へ」

四日市初中チャリティーを目的とした「シアリ公演2018~未来」が21日、四日市市文化会館で行われた。朝青三重県本部を中心とした実行委が主催。総聯三重県本部の李忠一委員長、県内をはじめ東海地方や近畿地方などの同胞、日本市民ら600余人が観覧した。

2009年に朝青の民族舞踊サークル「Shialy」主導のもとで初めて行われたシアリ公演は2年に1回行われ、回を重ねるたびに内容を充実させてきた。当初は「Shialy」の出演が演目の半分を占めていたが、様々な芸術分野で活躍するアーティストを招くなどして多彩なプログラムを構成。3回目以降はサークルの枠を超え、より広範な同胞青年たちを網羅した「シアリ公演プロジェクト」として活動してきた。

5回目の節目を迎えた今公演には過去最多の52人が出演し、昔懐かしい名作やアレンジを効かせた作品など全11演目が舞台に上がった。

舞踊「パラの舞」

舞踊「パラの舞」で幕を上げた2部構成の公演では、男女舞踊手による「サダンの舞」、朝青世代を中心としたコーラス「われらの願い」、四日市初中・中級部舞踊部の舞踊「実りの秋に」、民族打楽器演奏「嶺南農楽」、舞踊「海辺の乙女」が拍手喝采を浴びたほか、保護者らによる舞踊「巫女の舞」が披露されると「アンコール!」の声が沸き起こるなど大盛り上がり。過去の公演にもゲスト出演した金剛山歌劇団チャンセナプ奏者の崔栄徳さん、朝鮮韓国伝統音楽グループ「ノリパン」、四日市初中出身の歌手・鄭晃代さん、オペラ歌手・曺亨美さんらも舞台に彩りを添えた。

フィナーレでは「万豊年」の音楽に合わせて舞った出演者の想いが、「輝く未来」となって舞台上に花咲いた。

2回目の観覧となる趙基順さん(68)は当日を心待ちにしていたという。趙さんの子ども5人は四日市初中を卒業。現在は仕事や結婚のため全員が地元を離れたが、公演では子どもの同級生たちが舞台に立っていた。趙さんは「学校のために一生懸命に頑張る姿を見て熱いものがこみあげてきた。素晴らしい演目の数々は民族教育の証」と目を細めた。

同胞たちの応援が原動力に

コーラス「われらの願い」

毎回、好評を博してきたシアリ公演は地域同胞社会にすっかり定着。関係者によると、昨年年始から同胞たちから「今年も公演あるの?」という言葉がちらほら聞かれたという。しかし「Shialy」の元責任者である申絹淑さん(31)をはじめ中心メンバーたちの内心は複雑だった。「正直に言えば3回目が最後と考えていた」。

朝鮮半島情勢や学校を取り巻く様々な問題を考えた時、大規模な芸術舞台を作り上げるうえでの困難は一つや二つではない。「でも期待の声を受けたら結局『やらなあかんな』って。同胞たちの応援はこれまでも原動力になってきた」(申絹淑さん)。そうと決めた以上、中途半端なものには仕上げられない。水準は前回以上が求められる。周囲の期待に比例するかのように、関係者たちの不安も膨らむ。

それぞれ仕事や家事、子育てに追われながら、時には休日返上で公演準備に奔走した。中心メンバーの熱い気持ちに応えて、これまで観客側だった卒業生や保護者たちが出演者に。広告集め、チケット販売、公演練習、出演交渉、衣装作り…。より多くの人々に朝鮮学校について知ってもらうために、パンフレットにはこれまで同様、在日朝鮮人のルーツや民族教育の現状を記した。華やかな舞台の裏には多くの汗がにじんでいた。

600余人の観客が拍手喝采を送った

本番当日、出演者たちはほっと胸を撫で下ろしていた。「多くの観客が会場を埋めていただけでなく、過去最高の盛り上がりを見せていたから」と申絹淑さん。

若者たちの長年の奮闘ぶりを知っているからこそ、同胞たちは舞台に向かって大きな歓声を送り続けた。会場にこれまでにない一体感が生まれた要因は言うまでなく、四日市初中と地域同胞社会に対する公演メンバーたちの強い愛情にあった。

実行委員長を務めた朝青本部の申正春副委員長によると、三重では同校を支援する活動を継続的に展開すべく「学校サラン1口運動」の賛同者を拡大させていこうとしている。一方、朝青は継続的な愛校活動の一環として、園児、児童・生徒たちのための「朝青給食」を定例化させる予定だ。

一人ひとりの力は小さくても、それが種となり花を咲かせ、やがて大きな実をもたらすはず。そんな願いがこめられたシアリ公演。第1回目から携わってきた司会の申絹愛さん(39)はこう語った。「たとえその形が変わろうと、未来のためにこれからもずっと種を蒔き続けたい」。

(李永徳)

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