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国連自由権規約委員会、日本政府に厳しい勧告

ヘイトスピーチに法規制要求/「慰安婦」問題 加害者の刑事責任追及求める

国連(スイス・ジュネーブ)の自由権規約委員会は7月15、16日に行った日本報告書審査の最終見解を24日に公表した。日本の人権問題に関するさまざまな勧告が出された中には、ヘイトスピーチや「慰安婦」問題に対し厳しく指摘する内容も含まれている。

ヘイトスピーチにおいて委員会は、朝鮮・韓国人、中国人および部落民などへの憎悪および差別を扇動したとし、これらの行為に対する刑法および民法上の保護の不十分さに懸念を表明した。そして「差別、敵意あるいは暴力の扇動となる人種的優越あるいは憎悪を唱えるすべての宣伝、デモを禁止するべきである」としながら、「人種主義者の攻撃を防止し、加害者とされるものが徹底的に捜査され、起訴され、有罪判決を受けた場合は適切な制裁を持って処罰されることを保証される措置を取るべきである」と勧告した。ヘイトスピーチに対する刑事的規制を求めた内容が明白に打ち出されたことは画期的であった。

「慰安婦」問題に関して委員会は、戦時中の軍の強制性は認められなかったとしながらも、「慰安婦」の募集、移送および管理が軍または軍のために行動した者たちによって行われた事例が数多くあるとし、日本の矛盾する立場に懸念を示した。勧告では、「本人たちの意志に反し行われた行為はいかなるものであれ、日本の直接的な法的責任を伴う人権侵害とみなすに十分である」と指摘。その上で、「戦時中、『慰安婦』に対して日本軍が犯した性奴隷あるいはその他の人権侵害に対するすべての訴えは、効果的独立、公正に捜査され、加害者に対する刑事責任を追及すること、入手可能なすべての証拠の公開、教科書への十分な記述、学生と公衆の教育、責任の公的認知などの措置をとること」などを求めた。

今回のセッションでは「『慰安婦』は強制連行されておらず、売春婦である」と主張し続ける日米の代表ら10人が、日本の政府代表の「慰安婦」の性奴隷を否定する発言に拍手を送り、同問題について発言したマジョディナ委員を取り囲むといった事態が起きた。それに対し同委員会のナイジェル・ロドリー議長は「許されない行為」と言明。また、ロドリー議長は閉会のあいさつで、日本政府が同じ問題について何度も繰り返し勧告を受けていると指摘したうえで「今後の日本政府報告書の審査において、今回指摘されたことと同じ問題を再び議論することがないよう望むものである」と厳しく非難した。

今回、朝鮮学校に対する「高校無償化」制度適用に関する勧告は出されなかったものの、同会に参加した代表らが各国の委員らに繰り返し主張し、理解を求めた。

(朝鮮新報)

西野瑠美子・「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター共同代表

妥協は許されない

拷問禁止、表現の自由などに関する国連人権規約委員会の日本政府に対する勧告は、これまでの度重なる勧告に耳を貸さなかった安倍政権に対する国際社会の、人権侵害の原状回復責任に妥協は許されないという強い意思表示のように思える。

安倍政権は河野談話を巡り意図不明な「検証」を強行したが、それは「強制」=国家責任への日本政府の反発と抵抗を被害国に突きつけたというものだ。国連人権規約委員会が勧告に「国家責任」を明記したそこに、こうした日本政府の傲慢な態度への、国際社会の強い怒りと批判が感じ取れる。

問題解決の要は、被害者に対する真の反省と謝罪である。責任回避、被害者の人権を疎外したままの解決はありえない。日本政府は国際社会が提示する「正当な解決」は何としても避けたいのかもしれないが、加害国として被害者に対する人権回復目線、被害回復責任意識がない限り、解決には行きつかないだろう。

一方で河野談話を継承すると閣議決定しておきながら、もう一方で「検証」を強行し、強制性(性奴隷)を認めようとしない日本政府のダブルスタンダードを正すことが、勧告の強い意志であろう。国連人権規約委員会の勧告に真摯に向き合うことは国際社会の要請であり、今、日本政府が最も為すべき、解決に向けた第一歩である。

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