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〈特集・「全国大会」初出場から20年〉「幻の強豪」から真の強豪へ

2014年06月26日 10:57 スポーツ
2005年度の「第84回全国高校サッカー選手権大会」でベスト8に輝いた大阪朝高

2005年度の「第84回全国高校サッカー選手権大会」でベスト8に輝いた大阪朝高

高校サッカーファンなら誰もが知る大阪朝高の快進撃。06年1月、「第84回全国高校サッカー選手権大会」準々決勝でPK戦の末に敗れ、夢舞台「国立」(国立競技場)には後一歩届かなかったものの、「全国ベスト8」は朝高サッカー史に新たな1ページを堂々と刻んだ。

チームの精神的支柱で主将だった安泰成さん(27)は現在、母校の教壇に立つ。サッカー部コーチとして、今年こそ生徒たちを「全国」大会に導きたいと強く願っている。

「改めて振り返ってみて、正直、あの時は実力以上に勝ち進んだと感じている。スポーツをするうえで選手自身が『楽しむ』という側面もあったが、それ以上に客席からの声援、同胞たちの期待に応えたいという思いが強かった」

大阪朝高の活躍に沸く同胞応援団

大阪朝高の活躍に沸く同胞応援団

ミーティングルームに飾られた、各地から送られてきたメッセージ色紙や横断幕を見るたびにモチベーションは高まった。象徴的だったのが、同大会優勝候補と目された長崎県代表・国見高校との3回戦。当時、高校サッカーを代表するようなチームの応援席では日本国旗を掲げる人もいた。それを見た時、「自分たちは在日朝鮮人の代表として試合に臨もう」と心に刻んだ。1-0での勝利に、同胞応援団は沸きかえった。

あれから8年。自分が受けた恩恵を後進育成という形で返したいと教員への道を進み、今年で5年目を迎える。「全国」大会を目指す戦いは朝鮮学校で学ぶ子どもたちにも「当たり前に与えられるべき権利」であると同時に、「試合に勝つことで民族教育の誇りを示し、そして、その過程を通じて在日朝鮮人と日本人が同じ社会に生きる仲間としての距離を縮められる」と考えている。

正義として広がった世論

朝鮮学校は長らく日本の学校教育法に定める「一条校」ではないという理由から、スポーツ公式戦への出場が認められてこなかった。

門戸開放のきっかけとなったのは90年5月、大阪朝高女子バレーボール部に降りかかった問題だった。同部は、府の春季大会にエントリーし1次予選を勝ち抜いたが、主催者である大阪府高体連が「出場を許可したことはミス」だったとし、「辞退」するよう求めた。これを受け、同胞だけでなく広範な日本市民の協力のもと、「高体連加盟」「全国大会参加」を求める運動が拡大していく。

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