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軍事演習に核攻撃兵器配備、異例の公開/拡大する米国の核脅威

2013年04月04日 17:38 主要ニュース 朝鮮半島

より強力な米・南「新作戦計画」制定

B2、米本土から出動

米国は今月30日まで行われる米・南合同軍事演習「フォールイーグル」に、B52戦略爆撃機や6,900t級の原子力潜水艦「シャイアン」、B2ステルス戦略爆撃機、F22ステルス戦闘機などの核攻撃が可能な先端兵器を段階的に配備し、朝鮮に対する強力な武力示威を続けている。これらの事実はすべて、米・南連合司令部などを通じて公開された。

米国はこれまでにもたびたび、秘密裏に先端兵器を配備して朝鮮半島での軍事訓練を行ってきたが、今回のように先端兵器の配備を公開したのは異例といえる。朝鮮に対する挑発の度合いを極端に高めようとする狙いがあると見られる。

南朝鮮の米軍基地上空を飛行するB2ステルス戦略爆撃機(3月28日、連合ニュース)

米国は3月8日と19日、25日に、B52戦略爆撃機をグアム島から朝鮮半島上空に出動させ、打撃訓練を行った。

B52戦略爆撃機は別名「空を飛ぶ要塞」と呼ばれ、太平洋戦争当時、広島に投下された原子爆弾の10倍以上もの破壊力を持つ射距離3000kmの空対地核ミサイル(ALCM)を搭載することができる。空対地核ミサイルは、原子力潜水艦の潜対地核ミサイル(SLBM)、米本土にある大陸間弾道ミサイル(ICBM)と並んで、米国が南朝鮮に提供する「核の傘」の3つの軸の一つとされている。

3月28日には、B2ステルス戦略爆撃機2機が米中部ミズーリ州の空軍基地から発進し、全羅北道・群山沖合の直島に訓練弾を投下した。B2ステルス戦略爆撃機は総重量1万8,144㎏に達する核爆弾を16発搭載可能。レーダーに感知されないステルス機能を備えていることから「空の幽霊」とも呼ばれる。アフガニスタン戦とイラク戦、リビア空襲作戦などに主戦機として配備され、無この民を大量に殺りくした恐るべき攻撃兵器としても知られている。

3月31日には、米空軍の最先端兵器であるF22ステルス戦闘機が南朝鮮の烏山米軍基地(京畿道)に到着し、4月1日に「フォールイーグル」に参加した。

危険な米・南「防衛」方針

米国は南朝鮮に、朝鮮半島「有事」の際には「核の傘」に加え、通常の打撃能力やミサイル防衛(MD)能力を含む「拡張抑止力」(extended deterrence)を提供するとしている。

拡張抑止力とは、米国の同盟国が核攻撃を受けた場合に米国本土が打撃を受けた場合と同じ戦力水準で報復攻撃を行うという「防衛」概念であるとされている。

米国は今回、この拡張抑止力を提供する任務を遂行するためとの名分で、先端兵器を軍事演習に投入した。

このような状況の下、米・南両軍は3月22日、「北が軍事境界線一帯などで局地挑発を強行」した場合、米国と南朝鮮が共同で対応するという内容の新作戦計画を調印した。これはいわば、延坪島砲撃事件のような北南間の局地戦において、米軍が本格的に介入できるといった危険極まりないものである。

また南朝鮮軍関係者によると、同計画には「北が挑発した場合は挑発の拠点や支援勢力、指揮勢力まで攻撃する」といった南朝鮮軍の作戦指針が反映されたという。

南朝鮮の金寛鎮国防長官は3月30日、「北の挑発」があった際には南朝鮮の戦力のみならず、米国本土の戦力まで動員して一斉に制圧すると述べた。3月28日にB2ステルス戦略爆撃機が米国本土から南朝鮮地域に出動したのは、この発言を裏づける極めて重大な出来事であるといえる。

朝鮮は迅速に自衛措置

現在の朝鮮半島の軍事的緊張は米国がつくり出したものだ。米国の挑発行為が繰り返され、朝鮮は自衛的措置をとり続けた。

昨年12月に朝鮮が人工衛星「光明星3」号2号機の打ち上げに成功した後、米国は国連安保理を利用して不当な対朝鮮制裁決議を採択(今年1月)。2月に朝鮮が国連安保理制裁決議に対する自衛的措置として核実験を実施するや、またもやより強力な制裁決議を採択し、朝鮮への政治・経済的圧力を強めた。また、このような動きと同時に、朝鮮への軍事的威嚇をエスカレートさせてきた。

「停戦協定白紙化」を宣言した朝鮮人民軍最高司令部スポークスマン声明(3月5日)、「侵略者たちの本拠地」に対する核先制打撃の権利を行使することをせん明した朝鮮外務省スポークスマン声明(3月7日)などで示された朝鮮の強硬な姿勢は、西側メディアが報じるような朝鮮の一方的な「挑発行為」などではなく、米国によってもたらされている現実的な核脅威の拡大に対する対応措置であった。

朝鮮は、3月に入ってから米国によって段階的に強化されてきた核威嚇に対し強く反発するとともに、迅速に自衛の措置をとってきた。

3月25日にB52戦略爆撃機が出撃したことを受け、朝鮮人民軍最高司令部は翌26日に声明を通じて、米国本土とハワイ、グアム島、南朝鮮内の米軍基地に照準を合わせた朝鮮人民軍戦略ロケット軍部隊などに対し、「1号戦闘勤務態勢」を発令した。

B2ステルス戦略爆撃機が出撃した翌日(3月29日)未明には、金正恩第1書記が朝鮮人民軍戦略ロケット軍の緊急作戦会議を招集。金正恩第1書記は会議で、米国のB2ステルス戦略爆撃機が南朝鮮上空に飛来したのは朝鮮の強硬姿勢に対する単なる武力示威ではなく、朝鮮半島で核戦争を引き起こそうという最後通告であると強調し、戦略ロケット軍に「射撃待機」指示を出した。

(金里映)

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