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朝鮮学校関係者が日本外国特派員協会で会見

2013年02月26日 16:12 民族教育

「類を見ない反人道的行為」

「植民地支配の被害者である在日朝鮮人に対して、加害者である日本の政府が、過去を償うどころか、3世、4世の子どもたちまで差別し続けることは、世界に類を見ない許しがたい反人道的行為だ」

朝鮮学校関係者が25日、日本外国特派員協会で会見を開いた

全国朝鮮高級学校校長会の慎吉雄会長(東京朝鮮中高級学校校長)をはじめ朝鮮学校の生徒、保護者、日本の支援団体関係者が25日、東京の日本外国特派員協会で記者会見を開き、朝鮮学校が受けている差別状況について世界のメディアに訴えた。会見には、米国、中国、スイス、フランス、ドイツ、オランダなど各国の記者約50人が取材した。

会見では慎吉雄校長、東京朝高オモニ会の朴史鈴会長、同校生徒の金志弘さん(高3)、河卿禮さん(高2)、田中宏・一橋大学名誉教授が発言した。

まず、慎吉雄校長が全国朝鮮高級学校校長会、全国朝鮮学校オモニ会連絡会、全国朝鮮高級学校学生連絡会の連名となる声明を読み上げた。

政府と地方自治体の朝鮮学校に対する差別政策について指摘する田中名誉教授

声明は、今回の文科省による省令「改正」は、各種学校の認可を得た外国人学校の中で朝鮮学校だけを「高校無償化」制度から排除することを唯一の目的とした極めて差別的な措置であり、教育を等しく受ける権利を著しく侵害する不当極まりない行為だと強調した。

また、朝・日関係や朝鮮半島情勢などに絡む政治問題を神聖な教育の場にまで持ち込み、朝鮮学校生徒を犠牲にする卑劣で不当な差別だと指摘した。

さらに、日本政府のこのような対応は、各地方自治体にまで影響を及ぼし、一部の地方自治体が朝鮮学校への補助金を打ち切る状況となっていることについて説明。これは、法の下の平等を定めた日本国憲法や等しく教育を受ける権利を定めた国際人権規約、民族・出自による差別を禁止する人種差別撤廃条約などに著しく違反する露骨な人権侵害だと訴えた。

声明は、東京都が2020年のオリンピック開催地として立候補していることに触れ、「人種、宗教、政治、性別、その他の理由に基づく国や個人に対する差別」を禁じたオリンピック憲章にも反するこのような差別が横行するなら、オリンピック開催地としてもふさわしいとは言えないと指摘。朝鮮高級学校生徒への「高校無償化」実施を求めた。

次に発言した金志弘さんは、在学中の3年間、日本政府に「高校無償化」制度適用を求めてきたが、ずっと見送られてきたことに言及し、卒業後も民族の言葉と文化を学ぶ権利を勝ち取るため、後輩たちのため力を合わせてたたかっていきたいと力強く語った。

田中名誉教授は、かつて名古屋オリンピック招致の動きがあった80年代当時、名古屋市が公立学校の教員採用に国籍条項を設けて受験を拒んでいたことを、民間の名古屋人権委員会が国際オリンピック委員会に訴えたエピソードを紹介。名古屋は落選し、ソウルが開催地に決まったとしながら、政府と地方自治体の朝鮮学校に対する差別政策について指摘した。

多数の外国人記者たちが質問した

その上で、「朝鮮学校差別の問題は、一方では裁判所で争われ、もう一方では国際人権機関で検討されていくと思う。一人の日本人として、この問題の解決に向けて取り組んでいきたい」と語った。

記者からは多くの質問が寄せられた。

慎吉雄校長は、なぜ安倍政権が朝鮮学校と朝鮮半島情勢を関連付けたと思うかという質問に対して、「朝鮮学校の教育は、日本の植民地支配によって奪われた民族の言葉を取り戻すための教育だ。加害者である日本が被害者である在日朝鮮人に対して民族教育を保障することは当然の道理。しかし、日本政府はそのことを否定した上に、朝鮮学校生徒を政治問題に絡め、『人質』のように扱っている」と断じた。

(李炯辰)

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