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朝鮮学校関係者連名の談話発表、「無償化」関連省令改正の撤回を要求

2013年02月20日 20:22 主要ニュース

20日、全国朝鮮高級学校校長会の愼吉雄会長、全国朝鮮学校オモニ会連絡会の南珠賢代表、全国朝鮮高級学校学生連絡会の李祥庸代表が連名で談話を発表した。全文は次のとおり。

文部科学省は本日付で、高校無償化制度適用に関する省令改正を行い、各朝鮮高級学校にそれを通知しました。今回の文部科学省による省令改正は、各種学校の認可を得た外国人学校の中で朝鮮学校だけを高校無償化制度から排除することを唯一の目的とした極めて差別的な措置です。これは朝鮮学校生徒たちが有する教育を等しく受ける権利を著しく侵害する不当極まりない行為です。

わたしたちは、朝鮮学校の教職員と生徒、学父母をはじめとするすべての在日同胞の名において、これほどまでに非道な決定をくだした安倍晋三総理と下村博文文部科学大臣および文部科学省に対し、強い憤りをもって断固抗議します。

民主党連立政権は国連人権規約にもとづき「すべての意志ある高校生などが安心して勉学に打ち込める社会をつくるために、家庭の教育費負担を軽減」し、その対象に各種学校の外国人学校をも含めるとの趣旨で、2010年4月から高校無償化制度を実施しました。にもかかわらず、政治的思惑をもって朝鮮学校に対してのみ2年半もの間、再三「審査」を形式的にくり返し最後まで先送りしました。このような無責任な対応は決して許されることではありません。
前政権にもまして、自民党連立政権においては発足直後から、安倍総理の指示を受けて下村博文文部科学大臣が「拉致問題の進展がない」などと政治的理由を公然と掲げ、これまでの「審査」をもまったく無視し最初から「朝鮮学校除外ありき」の方針を明言していました。これは、政府当局が朝・日関係や朝鮮半島情勢などに絡む政治問題を神聖な教育の場にまで持ち込み朝鮮学校生徒たちを犠牲にして差別する深刻な事態です。

さらに、下村大臣は省令改正を発表した昨日の記者会見で「朝鮮学校が日本の教育制度の下で学校教育を行う方向に転換すれば、すぐ無償化が適用される」と述べましたが、これは日本にある多くの外国人学校同様、各都道府県の認可と監督下にある各種学校の資格をもつ朝鮮学校の民族教育そのものを否定するものです。

今回の差別的省令改正により、日本国民と同様に納税義務を果たしている朝鮮高校の学父母たちは、子供たちへの授業料無償化という当然の権利を奪われたばかりか、2011年度から高校生がいる家庭の「特定扶養控除」が減額されたため、二重の財政負担を強いられることになりました。

日本政府はなぜ、このように朝鮮学校とその生徒、学父母を排外的に扱うのでしょうか。わたしたちは、到底理解することができません。

それは今、各地方自治体にまで影響を及ぼし、朝鮮学校に対する「補助金の予算計上見送り」などの差別的措置として表れています。

日本政府や各地方自治体によるこのような不当な措置は、「法の下の平等」を定めた日本国憲法や「等しく教育を受ける権利」を定めた国際人権規約、「民族出自による差別を禁止する」人種差別撤廃条約などに著しく違反する露骨な人権侵害です。

日本政府によるこのような民族差別については、すでに国連の人種差別撤廃委員会や子どもの権利条約委員会などの国連機関でも問題視され、くり返し懸念や勧告が出されました。また、今回の省令改正については、政界やマスコミ、日本弁護士連合会をはじめとする法曹界、各界各層の日本のみなさんやアムネスティ・インターナショナルをはじめとする国際人権団体などが非難と反対の声をあげています。

日本による朝鮮植民地支配の結果、日本に移り住むことを余儀なくされた被害者である在日朝鮮人に対して、加害者である日本の政府が過去を償うどころか、日本で生まれ育った3世、4世の子供たちまで差別しつづけることは、世界に類を見ない許しがたい反人道的行為です。

朝鮮学校に通う生徒たちは、これからも日本に永住していく在日の子どもたちであり、彼らは日本の高校生となんら変わりなく、日々、勉学やクラブ活動に励んでいます。半世紀もの歴史をもつ全国の朝鮮高級学校は創立以来、10万人以上の卒業生を輩出しており、彼らの多くは、祖国や日本の地域社会の発展に貢献し、日本をはじめとする国際社会において経済、言論、文化、芸術、スポーツ、福祉など様々な分野で活躍しています。

私たちは安倍政権と文部科学省が、在日同胞の歴史的経緯や「高校無償化」制度の趣旨、日本国憲法と国際人権規約などにのっとり不当な「省令改正」をただちに撤回し、朝鮮高級学校生徒への授業料無償化を一日も早く実施することを強く要求します。

このたび、多くの日本の方々が日本政府と文部科学省の方針に異議を唱え、私たちに支持と声援を寄せてくれました。私たちはこれに心から感謝するとともに、みなさんの変わらぬ御支援、ご協力を切に願っています。

(朝鮮新報)

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