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〈大阪朝鮮学園補助金裁判〉第2回口頭弁論、「旧に復すか、未来を築くかが問われている」

2013年01月23日 10:19 権利 民族教育

口頭弁論終了後の報告会の様子

大阪府と大阪市が朝鮮学校に対し補助金を交付しないとした処分の取り消しなどを求めた訴訟の第2回口頭弁論が22日、大阪地裁大法廷で開かれた。昨年11月の第1回口頭弁論の時と同様に、裁判前から約90人分の傍聴券を求めて150人を越える人々が訪れた。前回に続き意見陳述を行った原告の大阪朝鮮学園側は、今回の訴訟の本質は朝鮮学校や在日朝鮮人社会に対する差別の歴史が再び繰り返されるのか否かが問われていることにあると指摘し、民族教育の歴史と補助金の性質について述べた。

原告側、民族教育の歴史について陳述

大阪地裁には、たくさんの傍聴希望者が詰めかけた

前回の意見陳述で原告側は、朝鮮学校に通う子どもたちの民族の文化・歴史を学ぶ権利は当然に保障されるべきこと、政治的および外交的理由により子どもたちの学ぶ権利が恣意的に侵害されてはならないことなどを主張した。

今回、原告側弁護団の鈴木健介弁護士は、朝鮮半島が日本に植民地化され、母語である朝鮮語を奪われた在日朝鮮人が、日本の敗戦と同時に解放を迎え、子どもたちに朝鮮語を教える運動を展開したことについて触れながら、差別と極貧の中から在日朝鮮人自らの手で「国語講習所」を設立し、多くの弾圧を受けながらも夜間学校、民族学級などの形態から朝鮮学校を発展させてきたと述べた。また幾度となく朝鮮学校に対する弾圧的な政策を繰り返してきた文部科学省の動きとは反対に、朝鮮学校を学校として社会的に承認する運動と認識が民間の側に広がり、根づいていったと強調した。

「朝鮮学校を各種学校と認可した後、不十分ではあるが地方自治体における教育補助金拠出の動きが始まった。1970年代以降、東京都、大阪府、神奈川県、愛知県などが続々と補助金の給付に踏み切った。被告らは補助金の交付が単なる贈与であるというが、その主張は各交付要項のみを眺めて作られた近視眼的な主張といわざるを得ない。歴史的な経緯を紐解けば、現在における補助金の支給は法的に保護されるべき権利であり、まさに日本社会の責務だということは明らかだ。朝鮮学校に対する補助金の問題は、日本による植民地化、文科省による敵視政策とそれに抗った先人たちが築き上げた日本社会と在日朝鮮人社会との関係を、再び旧に復すのか未来に向かって再構築していくのかを問うものである」(鈴木弁護士)

府庁前で権利獲得のために声を上げる日本市民ら

口頭弁論終了後、弁護士会館前で報告会が行われた。

原告側弁護団長の丹羽雅雄弁護士は「次回は、今回大阪府と市が提出した被告らの主張に対して、私たち原告側の全面的反論を行う。被告側の主張をきちんと追求して、とことんやりきりたい。今後もともにがんばっていこう」と語った。

次回、第3回口頭弁論は4月11日に大阪地裁大法廷で行われる。

一方、報告会の場で、大阪朝鮮学園が「高校無償化」制度の適用を求める訴えを起こすことが公表された(24日に提訴)。

またこの日、大阪府庁前では、朝鮮学校への「無償化」制度適用を訴える「火曜行動」が行われ、「朝鮮高級学校無償化を求める連絡会・大阪」と府下の朝鮮学校支援団体など市民団体、朝鮮学校の関係者らが参加した。「火曜行動」は昨年4月から毎週火曜日に行われている。

(李炯辰)

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