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公益財団法人「在日朝鮮学生支援会」、高校生に初の支援金

2012年12月13日 11:07 主要ニュース 民族教育

経済的に困難な学生の未来のために

公益財団法人「在日朝鮮学生支援会」(以下、支援会)が公益法人認定後、対象者への初となる支援金給付を行った。今年は全国の在日朝鮮人学生34人(高校19人、大学・大学院15人)が支援金対象者に選ばれた。「支援会」では今年7月30日に、2012年度高等学校奨学生募集要項と2012年度大学・大学院奨学生募集要項をホームページ上で公開していた。

在日コリアン学生に財政的な支援を

愛知での伝達式の様子

「支援会」は、在日コリアン学生の就学を支援し、彼らの権利擁護に資する事業を行い、国際性豊かな人材を育成することにより朝鮮半島と日本との友好親善および、国際交流に寄与することを目的として作られた。「支援会」では①在日コリアン学生に対する奨学金の給付、貸与事業②在日コリアン学生の権利擁護事業③国際性豊かな人材育成事業④在日コリアン学生と日本人学生および外国人留学生との国際交流促進事業⑤その他、同法人の目的を達成するために必要な事業を行うとしている。

近年、日本の経済状況が厳しさを増すなか、経済的な事情により、少なくない在日同胞学生が学業の継続に困難を感じている。

とくに、朝鮮学校の生徒たちはこれまで、日本学生支援機構や朝鮮奨学金制度などから、

学校教育法に定める一条校の学生ではないため応募自体が認められなかったり、応募は出来ても選考の結果により対象から除外されるなど、奨学金を受け取る機会がほとんどなかった。

また、2010年度から施行された「高校無償化」制度から除外され、各地方自治体により長年支給されてきた各種補助金も停止、削減されたことにより、各家庭の経済的負担が増え、学びの当然の権利を享受できないでいる。

「支援会」の発足により、朝鮮学校の生徒を含む在日コリアン学生が新たに支援を受ける機会が与えられた。

昨年7月に一般財団法人として出発した「在日朝鮮学生支援会」は設立と同時に公益財団法人としての認定を受けるための申請手続きを開始。今年の2月には公益財団法人として内閣府の認定を受け、3月に登記を完了した。公益財団法人としての認定を受けたことにより、一般財団法人では限りのあった同法人への企業、団体、個人からの寄付金にかかる税金控除範囲が広がった。支援会では日本の大学教授、弁護士、有識者らが役員を務めている。

東京と愛知で支援金伝達式

4日に東京で行われた伝達式では、東京朝鮮中高級学校に通う3人の生徒が支援金を受け取った。伝達式には「支援会」の櫻井孝一評議員(早稲田大学名誉教授)、朴点石理事が参加した。

伝達式では、朴理事が支援金に関しての説明を行った後、櫻井評議員が支援金を伝達した。支援金を受け取った高3の生徒は、「支援金を頂けて本当に感謝している。卒業まで残り少ない期間だけど、これまで民族教育を通して学んできたものを大切にしながら、勉学に励みたい。私は朝鮮学校の教員になることを夢見ている。今日を機に、よりいっそうがんばりたい」と明るい表情で決意を語った。

東京の伝達式の様子(生徒たちに励ましの言葉を送る櫻井評議員)

櫻井評議員は生徒たちに支援金を渡す際、「本当に大変だろうが、希望を持ってがんばって」と目を潤ませていた。櫻井評議員は、一部自治体からの補助金カットや「高校無償化」制度からの排除など、さまざまな困難に直面している朝鮮学校の生徒たちだが、彼らが明るく振舞っている姿に、「心を打たれた」という。

「日本学校の生徒も朝鮮学校に通う生徒もみんな同じ。私は、子どもはみんな平等に学ぶべきだと思っている。このような状況のなか、在日コリアン学生たちの救済のため、有志たちが『支援会』を作った意義は大きい。これから『支援会』の活動が少しずつ広がり、より多くの学生が支援をうけられるようになれば」と語った。

一方、5日に愛知で行われた伝達式では、愛知朝鮮中高級学校に通う5人の生徒と保護者らが参加した。伝達式では朴理事が支援金を伝達後、学生代表が感謝の言葉を述べた。

(李炯辰)

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