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奈良土曜児童教室、第1クールが修了

2012年12月09日 08:21 暮らし・活動

つなぐ、民族の伝統

学校法人奈良朝鮮学園が運営する土曜児童教室「나(な)~らのハッキョ」の第1クールが9月1日~11月17日にかけて開かれた。奈良朝鮮初中級学校が2008年に休校し、辛い日々を送ってきた地域同胞たちは民族教育の伝統をつないでいくため土曜児童教室を開講した。学校に子どもたちの笑い声が戻ってきたことを喜ぶ同胞たちは、いま民族教育を続ける決意を新たにしている。

8月25日に開講した土曜児童教室「나(な)~らのハッキョ」の様子

教室によみがえった子どもたちの声

先生たちとともに楽しく学ぶ子どもたち

土曜児童教室「나(な)~らのハッキョ」は8月25日、地域同胞と朝鮮大学校から来た学生スタッフ、「ハッキョ支援ネットワーク・なら」のメンバーら70余人の祝福のなか開講した。

オリニ班(幼児対象)とアドン班(児童対象)に分けて行われる授業では、3歳から初級部6年生までの日本学校に通う子どもたちや大阪の朝鮮学校に通う子どもたちが参加する。

第1クールでは、週に1回、10日間(全20時間)の授業が行われ、オリニ班に9人とアドン班に8人の17人が通った。

受講生たちは国語と英語の会話や読み書き、朝鮮の歴史や地理、民族遊び、民族楽器の演奏など、朝鮮の風習と文化に接する授業を楽しんだ。

国語の授業は大阪の各朝鮮学校で教鞭をとってきた金明恵さん(51)が受け持った。金さんは、アドン班の授業に参加しているある兄弟が毎週行われる授業に休まず参加していた姿を見てうれしかったと語る。「教室に一生懸命通う子どもたちの姿が本当に愛しかった。民族教育を受けようとがんばっている子どもたちが一人でもいる限り、この地域で民族教育を絶やしてはいけないということを実感した」と語った。

簡単な英語の単語を当てるゲームを楽しむ子どもたち。英語の授業では外国人講師とともに曲に合わせて踊ったりなど、楽しく英語を学ぶことができる

11月17日に行われた修了式では、受講生たちがこれまで学んできた朝鮮語と英語で歌や演劇、民族楽器の演奏などを披露。観覧した保護者、市議会議員をはじめとする日本市民に感動を与えた。

「나(な)~らのハッキョ」の林秀蘭校長(66、奈良民族教育推進協議会メンバー)は、「1週間に1回の授業だったが、子どもたちの中にだんだん『ウリ』を愛する気持ちが芽生えてきたと感じている。奈良で民族教育の火が消えないよう、多くの人々の力を集めてがんばっていきたい」と述べた。

「民族教育なしに同胞社会の未来はない」

奈良初中休校後、若い母親たちの子育てサークル「コグマ会」では、季節ごとに「オリニフェスタ」をはじめとしたさまざまなイベントと活動を行ってきた。また奈良県青商会が再起動したのは昨年の9月だった。

子どもたちを育てる若い世代の熱意に応えて、40、50代の総聯支部と学校教育会の役員をはじめとした地域同胞たちは、「民族教育の再開なしに同胞社会の未来はない」をスローガンに運動を展開、6月には「奈良初中の卒業生・関係者による同窓会『나(な)~らのハッキョ』」を成功させた。活気を取り戻した奈良同胞社会は、民族教育再開を目指した同胞ネットワークを再構築している。

子どもたちは「オリニ秋フェスタ」で大阪朝高生たちと共にイベントを楽しんだ

時を同じくして、総聯本部では学校教育会と女性同盟、青商会の代表らで民族教育推進協議会を立ち上げ、5月から随時会議を開き土曜児童教室の準備を進めてきた。

推進協議会では授業が行われる間にも会議を開き、児童教室の推進状況と想定される問題を繰り返し討議し、子どもたちがより良い環境で授業を受けられるように改善措置をとってきた。

また、授業と並行して「オリニ秋フェスタ」(11月4日)を企画し、大阪朝鮮高級学校の生徒たちと共に芋掘りやバルーンアートを楽しんだ。ここには、普段教室に参加できない子どもたちも多数訪れ、新たな交流もスタートした。

学校に集まった子どもたちの姿を見て誰よりも喜んだのは、この地域の同胞たちだった。

児童教室に孫が通う鄭末善さん(64)は、奈良初中創立から休校まで学校と寄り添いながら生きてきた同胞の一人だ。

「学校が休校になったとき、子どもたちと孫たちに対する申し訳ない気持ちが溢れてきて辛かった。でもこうやってまた、孫たちが笑いながら学校で学んでいる姿を見ると本当にうれしい」

修了式で林秀蘭校長から記念品を受け取る子どもたち

女性同盟奈良県本部の金麗英部長(39)は、「子どもと学父母たちが集まる機会を失えば、民族教育を続けるのはもっと難しくなる。始めるのも難しいが、これを続けていくのはもっと難しい。今後、女性同盟が若い世代のオモニたちと心をひとつにして児童数を増やしていけるようがんばりたい」と決意を新たにした。

「나(な)~らのハッキョ」に子ども2人を送る「コグマ会」の金恵淑代表(35)は、「授業をしている子どもたちの姿を見ようと同胞たちも訪ねてくる。息子たちは、私に『奈良のハッキョがいい』と話すようになった。いまは大阪の朝鮮学校に通っているが、、この場で、日本学校にも通う子どもたちとも交流を育みながらいろいろな経験をしてくれたらいい」と語った。

奈良の土曜児童教室「나(な)~らのハッキョ」の第2クールは、来年初旬、3カ月の過程で行われる。

(李炯辰)

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