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朝英合作映画「キムさんは空を飛ぶ」に注目 / 平壌国際映画祝典で上映

2012年10月03日 10:46 主要ニュース 共和国

朝鮮の現実コミカルに描く

【平壌発=金志永】第13回平壌国際映画祝典が9月20日から27日まで開かれた。同祝典は自主、平和、親善の理念のもと1987年から始まったもので、1990年から2年に1回ずつ行われている。

今回の平壌国際映画祝典では、中国、ロシア、ドイツ、英国、フランスなど30余カ国の50余の団体が出品した300余編の映画の中から、審査を通じて選定された90余編の作品が上映された。中でも、朝鮮と英国の合作映画「キムさんは空を飛ぶ(Comrade Kim Goes Flying)」が話題を集めた。

朝英合作映画「金同志は空を飛ぶ」のワンシーン(写真はすべて文光善)

同映画は9月はじめにカナダ・トロント国際映画祭に招請されたほか、10月には釜山国際映画祭でも上映される。

英国の制作者ニコラス・ボナー氏は映画の舞台あいさつで、「この映画のテーマは『夢を実現してください』ということ」であると述べた。彼は、不可能と思われたことを実現するのは、まさに朝鮮の映画関係者らとともに一つの作品を作ろうとした英国、ベルギーの映画人たちの共同の目標でもあったと話した。この映画の制作にはベルギーの映画人も関与している。

現役サーカス団員が出演

「キムさんは空を飛ぶ」は、地方の炭鉱で働いていた主人公のキム・ヨンミが、紆余曲折を経て平壌でサーカス団の団員となり、成功する過程をコミカルに描いたもの。

炭鉱の村で育った主人公は幼い頃、空を飛ぶハトを見て「私も翼があれば空を飛べるはず」と夢見ていた。主人公は首都建設事業に参加するために平壌を訪れた際にサーカスと出会い、夢を叶えるために必死に努力を重ねる。

炭鉱娘の「成功物語」は、平壌国際映画祭に訪れた国内外の観客たちの絶賛を浴びた。うまく構成された脚本と生活感あふれるキメ細やかな演出、実際の場面を撮った画面がアニメーションに変換されるといった特殊効果の導入など、作品として優れた特徴があると評価された。

一方で観客の好感をよんだ最大の要因は、登場人物たちの活気あふれる姿だった。

主人公をはじめ映画の主要人物を演じたのは、映画俳優ではなく現役のサーカス団員たちだ。代役を立てずに本人自らが華麗なサーカスの技を披露した。

また、セリフや演技も素人ばなれしたものだった。映画監督であるキム・グァンフン氏(4・25芸術映画撮影所演出家)は「サーカス団員たちは映画という初めての分野への挑戦であったが、サーカス団員の自然な生活や感情を、映画のスクリーンを使って表現することができた」と話した。

「私たちには翼がある」

「キムさんは空を飛ぶ」が9月にトロント映画祭で上映された際、西側メディアからは否定的な評価も交錯していたという。米紙ニューヨークタイムズは炭鉱娘の「成功物語」について「低俗な幻想」と酷評した。しかし、朝鮮に対する誤った先入観を持って鑑賞すると、この映画をきちんと評価する事はできない。

  「キムさんは空を飛ぶ」の冒頭部では、地球を一周し、朝鮮に向かう飛行機のアニメーションと一緒に「世界の多くの国に夢がある。ここにもう一つの夢がある」という朝鮮語と英語の字幕が登場する。

「私たちには翼がある」という主人公のセリフこそ、朝鮮の現実を反映した映画のテーマそのものといえる。

この映画は、ハリウッド映画のような「幻想」を描いてはいない。平壌国際映画祝典でキム監督は「『キムさんは空を飛ぶ』は実話に基づいた物語だ。私たちの生活をそのまま伝えた。この映画が外国人たちが朝鮮を理解するうえで一助になってくれれば」と述べた。

(朝鮮新報)

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