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〈ピョンヤン探訪③〉慶興館ビアホール、仕事帰りに楽しく乾杯

2012年10月24日 16:10 主要ニュース 共和国

7種類を立ち飲みで、女性客も

【平壌発=周未來】2010年4月にリニューアルオープンした慶興館ビアホールは、国内で唯一、大同江ビール工場で生産される7種類のビールをすべて取り扱っている。冷たい生ビールを片手に、仕事終わりのひと時を平壌市民たちと過ごした。

1日3千人が利用

ビールを片手に仕事帰りのひと時を楽しむ市民たち

普通江区域の慶興通りに位置するビアホール。午後5時過ぎ、ガラス張りの店内をのぞきこむと、すでにジョッキを片手に談笑する市民たちでごった返していた。

全席立ち飲みスタイルになっているビアホールは、1日に約3,000人が利用する。日中(12~3時)と夕方(5~8時)に営業を行っており、それぞれ客層が異なるという。「日中は定年退職した年配の方が、夕方は仕事帰りの人たちが立ち寄って行く。みな飲んでも2杯から3杯。気持ちよく酔った程度で帰路に着く」とホールスタッフ責任者のクォン・ファスクさん(43)は話す。

海外同胞や外国人利用者のための半個室スペースも設けられている。席に着くとさっそくクォンさんが7種類のビールを持ってきてくれた。「市民たちと同じものを」とつまみを頼むと、大きな乾きスケソウダラを出してくれた。

慶興館ビアホールでは7種類のビールが楽しめる(写真=平壌支局)

「7種類のビールは、コメと麦の比重を調整しながら味を微妙に変えている。1番から順に麦100%、麦70%にコメ30%、麦50%にコメ50%、麦30%にコメ70%、コメ100%と分類されていて、残りの6、7番がそれぞれコーヒーとチョコレート風味の黒ビールになっている」

人それぞれに好みがあるが、のど越しの爽やかな2、3番はとくに人気のビールだ。女性客は苦味の少ない5番を好むという。「みなそれぞれ自分のお気に入りを見つけて、そればかりを飲んでいる」。

ざっくばらんな雰囲気

ビアホールには女性客の姿も少なくない。支配人のアン・ソンフィさん(58)は、「私が若かった頃は、ビアホールで堂々と飲むということはなかった。恋人と一緒の時も普通の食堂の片隅で隠れながら飲んだ」と笑う。

アン・ソンフィ支配人

アンさんによると、経済的に苦しかった1990年代には市内のビアホールも正常運営することができなかった。2002年に最新設備を備えた大同江ビール工場が竣工し、市内の住民区域ごとにあるホールに生ビールを定期的に提供するようになった。

「大同江ビール工場の技術者たちが開発した7種類のビールを金正日総書記が試飲して、平壌市民に提供するようにと指示を出した。それが2010年。さらにおいしいビールを飲みたいという愛好家の欲求に限りはない」。7種類のビールを提供する大型ホールの登場は、「経済の復興と生活レベル向上を象徴する出来事として受け止められた」という。

半個室のスペースで記者と一緒にジョッキを傾けたアンさんは、これまで慶興館を訪れた在日同胞たちの「思い出」を語った。「市民の熱気あふれるビアホールの光景を見ると心がなごむ、せっかく来たんだから彼らと杯を酌み交わしたいと話していたことが印象的」。

1日に約3000人が訪れる慶興館ビアホール

この日、ホールの光景をカメラに収めていた記者に「ここで一緒に一杯どうぞ」と市民たちが声をかけてくれた。パン・テギョンさん(42)は平壌火力発電所で働く。平壌郊外に暮らす叔父と叔母も一緒に連れて来たという。二人ともかねてから同店に来たかったと満面の笑みを浮かべていた。いつもよりビールが進み4杯目を飲み干したパンさんは、「酔ってなんかいない。私は舌足らずで元々ろれつが回らないんだから、いくら飲んでも変わらない」と冗談を飛ばした。

午後8時。頬を赤らめた市民たちが、笑みを浮かベて家路に着いた。

(朝鮮新報)

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