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〈取材ノート〉通名とチョゴリ

2012年02月04日 15:57 コラム

記者も通名をもっている。だが、自己紹介をするとき、ファミリーレストランで名前を聞かれたときや通販で商品を注文するときは当然だが本名を使う。今、普段の生活の中で、通名を使うことはほとんどない。

もう10年ほど前だが、高級部時代、同級生約100人の女子生徒の中で、第二制服を持たず、チョゴリを着て通学していたのは、数えられるほどだったと思う。記者もそのうちの一人だった。

何が言いたいのか。通名を使う人、チョゴリで通学しない女子生徒を批判したいのではない。なぜなら、94年に起きたチマ・チョゴリ切り裂き事件以降、チョゴリを着たくても怖くて着れなかったからだ。実際、チョゴリでの通学は怖かった。名前だって、本名を名乗らない限りは、在日3世、4世の私たちを誰も朝鮮人だとは気づかない。

先日、取材である20代の男性をインタビューした際、「在日が自分の本名を名乗り、堂々と生きていけるよう活動をさらに繰り広げていきたい」と話していた。しかし、なぜ私たちは怯えなくてはならないのか。在日朝鮮人が「本名で堂々と生きて」いけない環境を作ったのは誰か。答えは明白だ。

メディアや日本社会での朝鮮バッシングも悪影響を及ぼしていると思う。いつか朝鮮学校の生徒たちが、「無意識的に」本名を名乗り、チマ・チョゴリを着ることが当たり前になる日が来るだろうか。一方では、朝・日友好の草の根運動が活発に行われているのも事実だ。そうしたつながりを大切にし、一歩一歩、明るい未来へ進んでいきたい。(梨)

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