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〈取材ノート〉「感動した」では終われない

2012年01月31日 11:22 コラム

昨年取材したある中小地域の朝鮮学校の記事を読んだ関係者から、「感動した」との反響をもらった。記事は同校の創立記念行事と、日々奮闘する教員の日常について書いたもの。

取材ノート校長以外の教員全員が20代の同校。一人あたり都市部の2倍以上にあたる週平均26時間の授業を受け持ち教授案作成、毎朝夕の通学バス運転に加え、同胞行事の主管や動員活動まで負担は想像を絶する。

20代半ばの教務主任に今後学校がまず取り組むべき課題について質問すると、「生徒募集以前に教員募集かな。広い地域を4人で回るのには限界がある」。それでも「いま諦めたら同胞社会が本当になくなっちゃうから」と歯を食いしばる。

膨大な日常業務に追われては、生徒募集もままならない。同胞数が少なく、運動が低調な同地域では、それでも人が集まる学校が地域同胞社会を守るための中心的役割を担わされる現状があり、それが更なるハードワークを生んでいる。

20代の若者にとって、重すぎる責任だと痛感した。「現状を垣間見ると、長年かけて落ち込んできた同胞社会の早い復活が必要だ。だけど現実的に展望も、残された時間もない」とある関係者は語る。

一方で、「まず立ち上がるべきは地域同胞。けれど、努力だけではまかないきれない部分もある。活動家派遣など積極的な後押しがほしい。もっと地方の現状に目を向けてもらえれば」と語る。

実際、同地域を朝鮮新報で大きく取り扱ったのは5年ぶり。現場が何を求めているのか。声を形にすることで「感動した」では終わらない関心を煽りたい。(周)

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