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南北首脳の出会い / 3世代の感動を新聞に投稿

2000年07月10日 15:45 暮らし・活動

神戸の徐美子さん一家

南北首脳の歴史的出会いからまもなく1ヵ月。いまだに在日同胞の多くが、感動と喜びに浸っている。神戸市須磨区に住む徐美子さん(51)もその1人。親子3代がその喜びを「日本の人々とも分かち合いたい」と、それぞれ別々の新聞社に投書して、そろって採用された。徐美子さんが喜びの弁を本紙に寄せた。その声と日本の新聞に掲載された3世代の投書(原文のまま)を紹介しよう。

南北首脳の出会いを熱烈に歓迎する平壌市民

興奮、突き動かされる思い

この度の歴史に残る大きな出来事に心動かされなかったチョソンサラム(朝鮮人)がいたでしょうか。

在日1世のアボジ、2世の私、3世の愚息、相談したわけでもないのにそれぞれにそれぞれの立場から感じた思いを文章にして新聞社に投稿しました。

私には突き動かされるような、じっとしていられない思いがあったからです。

アボジも息子もそうだったのでしょう。

アボジの感動は6月16日に朝日新聞に掲載され、私の感激は翌17日に読売新聞に。そして28日には地元紙神戸新聞に愚息の喜びが載りました。

息子は現在、朝鮮大学校で学んでいます。ハラボジとオモニの喜びの声が新聞に載ったことを知って「じゃあ、僕も書いてみる」と、さっそく投稿したと言います。

3世代が同じテーマで自分の体験と位置からの意見を書き、そろって採用されたことは、やはり心は1つと胸が一杯です。

苦労の多かった1世のアボジ、オモニに南北縦断旅行を!

未来ある子供たちに統一朝鮮を!

朝日新聞-ハラボジ「南北の握手に心でマンセー」

会社員 徐元洙(兵庫県西宮市 75歳)

在日67年の朝鮮人です。20歳の時、祖国の解放を迎えた日の喜びと感動。それにも勝る南北最高位級会談の実現。韓国の金大中大統領がピョンヤンを訪れ、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記と笑顔で両手で熱く握手を交わした瞬間をテレビで見て、思わず「マンセー」と心で叫びました。たまりにたまった55年におよぶ分断と対立の感情が一瞬にして吹っ飛び、「ああ、よかった」と思いました。

この日の1日も早からんことを7,000万同胞がいかに心待ちにしてきたことか。金総書記自らの出迎えには、全世界の人々が驚きの声をあげる前に、金大統領自身が驚いたことでしょう。まさしく歴史の1ページです。同じ民族の血が最高指導者の両手を通して交流したことでしょう。何事も出会いがなければ始まりません。北であれ、南であれ、わが祖国。和解と統一に向かって1歩1歩前進することを疑いません。祖国が明るく繁栄し、半世紀以上足を踏み入れていない生まれ故郷の韓国に大手を振って墓参のできる日の来ることを願い、両首脳の会談が、実りのある成果をもたらすことを祈るものです。

読売新聞-オモニ「歴史的な握手感動しました」

会社員 徐美子(兵庫県神戸市 51歳)

感激しました。平壌の順安空港で、固い握手を交わす北朝鮮の金正日・朝鮮労働党総書記と韓国の金大中大統領の姿をテレビで見て、胸が熱くなりました。

ノンポリ派を自認していた自分が、こんなに感動するなんて、自分でも驚きました。「別に……」と冷めた目で見ていたつもりが、やはり期待していたことを思い知りました。

昨年5月、平壌に住む弟に会いにいきました。新潟までJR。1泊した後、船で2日の長旅でした。

滞在中、片時も弟のそばを離れたくないほど切羽詰まった気持ちの私に「せっかく来たのだから、観光でも楽しんで」と、弟はにこやかに言ってくれました。でも私は「何であんなに」と後悔するぐらい、涙ばかり見せていました。

熱烈歓迎の市民の中に、弟もいるだろうか。それとも、家でテレビに見入っているだろうか。そう考えただけで、また涙がでそうです。年齢とともに、望郷の思いの募る父も、南の故郷を訪ね、陸続きに平壌の弟を訪ねたいことでしょう。夢ではなく、ぜひ実現してほしい。

神戸新聞-息子「神戸の家族と喜び共有する」

大学生 安裕在(東京都小平市 21歳)

今、僕は抑えきれない喜びで胸がいっぱいだ。

13日、午前10時37分、ついに、金大中韓国大統領が平壌を訪れた。

僕の学ぶ東京都小平市にある朝鮮大学校では、授業を中断して、全学生が歴史の瞬間を確かめた。

金正日総書記と両手で握手し、笑顔であいさつをかわし、同じ車に乗って、平壌市内へと向かった。なんとも素晴らしかった。「これこそが、すでにもう統一だ」と、心の中で叫んだ。

代表2人がお互いをたたえ、見守る人民が万歳を叫ぶ。在日の僕たちも同じ思いで、拍手が鳴りやまない。

3歳から民族教育を受けた僕にとって、この興奮は、言葉では表現できないものだ。みんな泣いた。僕も涙があふれた。そして、確信した。やっぱり朝鮮はひとつだと。

神戸の家族にも、毎日のように電話して、感動を共有した。朝鮮半島の全人民が55年間、待ち望んだこのとき。確かに歴史は動いている。必ずやって来る本当の統一に向かって、僕たちも立ち上がろう、と決意した。

(朝鮮新報)

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